慢心は焦げのもと
朝起きたときからスコーンを買いに行くと決めていた。
よく行くカフェのスコーンはパンと焼き菓子の合いの子みたいな食感で、「フワ」ではなく「サク」寄りなのが気に入っている。かなり人気なので買えて良かった。通い詰めているスコーンラバー達との睨み合いの日々。
「今日は空気が湿気ってるから、食べる前はオーブンで」そう店員さんが手渡すときに教えてくれたので、トースターに並べてじわじわ焼いてみた。上京したときに兄が買ってくれたトースターなので、ずいぶん長い付き合い。ダイヤルを回すと水蒸気が開閉部から漏れてきてスチームパンク・レンジになるが、それにも全く動じなくなった。
ただ付き合いの長さに慢心して適当に焼いてたら焦がしてしまってショック。人間関係と一緒だ。大きめのため息が出たけど、焦げた黒胡麻がかえって香ばしくなったので、吐いたため息分だけ香りを吸い込んだ。
天気がぐずついていてすっきりしないが、涼しいに越したことはない。ひんやりし始めたシーツの触り心地にうっとりしつつ寝る。今週もお疲れさまでした。