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kotonoha7770
#8 お茶会の記録
お茶会といえども、何も、世間話にばかり花を咲かせるわけでもなかった。
リコリスたちは、創作ギルド《SSQuest》の中心メンバーであり、彼女たちが様々な世界の物語――所謂、「歴史」や「記憶」と呼ばれるものだ――を集めることによって、初めてギルドの活動が成り立つ。そのために、束の間の休息を楽しむ余裕はありつつも、次の物語を記録する旅について話し合う必要があった。
何も、お茶会で話し合う必要はない――と、ギルドの物語を記録するためにリコリスたちを観察する書記官は思っているが。
「そういえば、花売りの女の子が話してくれましたわ。『海沿いを歩いていたら、光り輝くオーブを見つけた』とか」
切り込んだのは、オフィーリアだった。〝光り輝くオーブ〟の言葉に、メンバー全員がオフィーリアを見つめる。
「あら、皆様……そんなに見つめないでくださいな。何だか恥ずかしいですわ」
オフィーリアは照れたように微笑んだ。レイラは苦笑しつつ、話を続けるために口を開く。
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