見出し画像

超短編|炬燵にアイスと

 炬燵の電源を入れて、クリーム色の炬燵カバーの中に、足を滑り込ませた。まだ冷えた空気だけが留まっていて、ちっとも暖かくない。

 まあ、いいや。これから暖かくなるから。

 炬燵に置いたゲーム機──Switchを点けて、サブモニターに目を向ける。お目当てのゲームソフトを起動させれば、準備は万端。

 アイスも冷凍庫から持ってきたし、あとは楽しむだけ。寒い日に炬燵で食べるアイスって、最高なんだよね。

 スマホでLINEを開く。ゲーム仲間のグループをタップして、通話を開始した。

『お疲れー。今日、めちゃくちゃ寒いね』
『床が冷たすぎて、布団に入ってるわ』
『わかるー』

 間延びした声を聞きながら、くすくすと笑う。アイスの袋を開けて、食べてもらいたそうな顔をしてるチョコレートアイスを咥えた。

『あ、何か食べてるな?』
「チョコアイス」
『こんなに寒い日に!? よく食べられるなー』
「炬燵に入ってるからね」

 スマホの向こうの友達にドヤ顔をして、アイスを堪能する。からからと笑う友達の声が、心地良い。じわりと足元から感じる熱も、友達の声に応えているようだった。

 冬は、これが良い。
 炬燵にアイス。友達とゲーム。スマホの向こうから、笑い声を添えて。


いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集