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sugarline310
【詩】嵐の夜
嵐の夜
嵐が来るとわくわくする。
人に作られていない非日常が 何もせずともやってくるのだから、
そりゃあ、わくわくもするだろう。
わくわくして、そわそわ。
厚い雲は空を覆い、
どすのきいた灰色は 地上の空気にまで染み込む。
それは 強大な悪の色。
現実の 小汚い悪でなく、
空想の 魅力ある悪の色。
ポツポツと雨が降り始める。
その雨粒には芯がある。
いつもとは違う質量と密度で、
降る先の一点を、
重く、 叩く。
屋根を打つ雨音はうるさいほどに強く、
大勢の拍手に似ている。
しかしそれは人の叩く音でなく、明るさのある音でなく、、
パッと来たかみなりに 夜空は白く発光する。
遅れて来る雷鳴のうなりは、不気味な白龍 の 鳴き 声 にも聞こえる。
ああそして
水浸しの地面からは
無数の水滴が撥ね上がる!
白いしぶきは花のようで、
平坦なアスファルト を
覆い咲く、複雑性、。、。、。、。、。
そんな花畑、傘を差して歩く。
そんな 贅沢な
嵐と、隣り合わせの散歩。
生きることの喜びが
湧いて出てくる。
美しい、嵐の夜に。
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