意識とクオリア
人の意識は、どのようにして生まれるのか。その10。
意識の核心は、クオリアと呼ばれている固有の感覚。
その当人にしか分からない実質的な実感のことだ。
例えば、あるものを食べて美味しいという実感。
それが、どのような感覚であるか。
それは、当人にしか分からない。
言葉では説明できない感覚。
幼い頃から、ものを食べた記憶情報の全てが背景になっている。
過去のあらゆる記憶、エピソードの上に成り立っている。
だから、人に伝えられない。
そして当人でさえも、それを記述することはできない。
あまりにも大量の情報が背後にある。
意識している感覚は、表面に浮かぶ氷山のようなもの。
海中に隠れている方が圧倒的に巨大。
当人でさえ意識していない意識下の感覚を大量に含む感覚。
それが、クオリア。
一言で云えば、感覚の質のことだ。
その当人にしか体験できない固有の質のこと。
このクオリアこそ、
意識の本質ともいえる。
基本的に、人に伝えられないもの。
従って、言葉にして概念化できない。
個々人の個性が激しく、
一般化や抽象化や概念化が不可能。
このクオリアがないと、
ロボットと同じになる。
将来、意欲、計画、議論、合意形成が可能な
高度AIのロボットができたとしても、
クオリアがないとなると、感覚の質がないから、
感じていないことになる。
例えば、人を殺して、何も感じない。
それはロボット。
クオリアがない。
反省や理屈や現状分析や知性はあるかもしれないが。
人の意識が生まれるとは、
このクオリアが生まれると同じ。
クオリアが生まれるには、
感覚や感情体験の蓄積が不可欠。
特に、母親の胎内にいるときに感じる、
5感からの体験の積み重ねが不可欠になる。
胎内にいるとき、
毎秒聞いた母親の心臓の鼓動。
そして母親の声など。
それらが、人の誕生後、
感覚や感情など感性と知性が発達するもとになるからだ。
つづく
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