意識とクオリア

人の意識は、どのようにして生まれるのか。その10。


意識の核心は、クオリアと呼ばれている固有の感覚。

その当人にしか分からない実質的な実感のことだ。


例えば、あるものを食べて美味しいという実感。

それが、どのような感覚であるか。

それは、当人にしか分からない。


言葉では説明できない感覚。

幼い頃から、ものを食べた記憶情報の全てが背景になっている。

過去のあらゆる記憶、エピソードの上に成り立っている。

だから、人に伝えられない。


そして当人でさえも、それを記述することはできない。

あまりにも大量の情報が背後にある。

意識している感覚は、表面に浮かぶ氷山のようなもの。

海中に隠れている方が圧倒的に巨大。

当人でさえ意識していない意識下の感覚を大量に含む感覚。

それが、クオリア。

一言で云えば、感覚の質のことだ。

その当人にしか体験できない固有の質のこと。


クオリア - Wikipedia


このクオリアこそ、

意識の本質ともいえる。


基本的に、人に伝えられないもの。

従って、言葉にして概念化できない。

個々人の個性が激しく、

一般化や抽象化や概念化が不可能。


このクオリアがないと、

ロボットと同じになる。

将来、意欲、計画、議論、合意形成が可能な

高度AIのロボットができたとしても、

クオリアがないとなると、感覚の質がないから、

感じていないことになる。


例えば、人を殺して、何も感じない。

それはロボット。

クオリアがない。

反省や理屈や現状分析や知性はあるかもしれないが。


人の意識が生まれるとは、

このクオリアが生まれると同じ。

クオリアが生まれるには、

感覚や感情体験の蓄積が不可欠。


特に、母親の胎内にいるときに感じる、

5感からの体験の積み重ねが不可欠になる。


胎内にいるとき、

毎秒聞いた母親の心臓の鼓動。

そして母親の声など。

それらが、人の誕生後、

感覚や感情など感性と知性が発達するもとになるからだ。


つづく


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?