死を悲しむ

「もう少し生きたい」という人がいる。
死期が迫っている。

「早く死にたい」という人もいる。
死期がなかなかやってこないのだ。

二人の立場は真逆のようだが、
どちらも、同じことを言っている。

生も死も、人は選ぶことができない。
与えられるまま。
受け入れるしかない。

どちらでも今がある。
これは同じ。

年取るにつれて、
生と死が同じに思えてくる。

どちらも、今しかない。
未来や過去、いずれもない。

同級の死を知る。
あるいは、知人の死を知る。
悲しいだろうか。

それはない。

悲しんでは、死ぬ人に迷惑。
僭越、でしゃばり。
まるで、いなくなるように。
この世の存在を否定しているように。

生を肯定するなら、喜ぶべき。
褒めて、讃えるのが人のみち。
よくやったとねぎらうべきだろう。

葬儀は、本来、祝うべき行事。
悲しむなら、やらない方がまし。

人の生は短い。
可能性や未来や希望。
本人がどのように感じようと自由だが。
周囲の人が期待するのは僭越。

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