小匙の書室273 『このミス』大賞 2次選考通過作
⇧まずはぜひ、こちらの記事をご覧ください⇧
数あるミステリーの賞でも、特に「ミステリを読み始めたばかりの読者」にオススメしたいのが、『このミステリーがすごい!』大賞なのです。
さて、7月に最終候補へ進む21作が発表されたわけですが、来る8/23、ついに受賞作を決める最終候補作が発表されました。
その数、7。
⇩さっそくその作品をご紹介⇩
『どうせそろそろ死ぬんだし』夜ノ鮪
『わたしを殺した優しい色』瀧井悠
『九分後では早すぎる』入夏紫音
『一次元の挿し木』松下龍之介
『魔女の鉄槌』君野新汰
『私の価値を愛でるのは? 十億円のアナリスト』松井蒼馬
『謎の香りはパン屋から』土屋うさぎ
この中には、1次通過作で私が気になったいた作品が4つもあります。
今回の記事では、前回コメントしなかった作品について簡単に触れていこうと思います。
『一次元の挿し木』松下龍之介
二百年前の人骨と、四年前に失踪した少女のDNAが一致──という不可解な謎と、産学連携の暗部に挑むSF謀略ミステリだそう。
これぞエンターテイメント、という雰囲気を感じます。スケールの大きさはともするととっ散らかってしまう恐れをはらんでいますが、見事に風呂敷を畳んでいると、選評にはありました。
かなり高評価を得ているようで、これは期待値が高まりますね。
『私の価値を愛でるのは? 十億円のアナリスト』松井蒼馬
個人が株式として売買される社会が舞台。自己総額をメインの材料とし、主人公の千花が買収されることで、「自分の行動が支配されてしまうのか」「アイデンティティはどうなってしまうのか」という人の価値観を問うている作品のよう。
このミス大賞は『特許』や『紙の種類』や『医療』など、突出した専門知識が扱われる作品が受賞することがあります。ミステリの興趣と共に専門知識も学べるのは一石二鳥ですよね。
この作品では『株式市場』を知れるので、刊行されたら読んでみたい。
『謎の香りはパン屋から』土屋うさぎ
パン屋でバイトする大学生のもとに転がり込んでくる日常の謎。それだけでなく、パン屋を舞台にしたお仕事小説も楽しむことができるとのこと。
謎そのもののパンチは弱いけれど、それを補って余りあるよく書けたキャラクターと、謎をめぐる推理が秀でているそうだ。
またパン屋をめぐるあれこれも楽しめるらしく、「これは読みながらお腹が空いてしまうのではないか?」と思うのでした。
というわけで、今回のぶんを含めて最終候補作に残った7篇にコメントしてまいりました。
気のになる最終発表はまだ先になりますが、今から非常に楽しみです。
このミス大賞は、いつか全作読破してみたいけれど、果たして叶うことやら……(笑)
ここまでお読みくださりありがとうございました📚