
小匙の書室76 横溝正史ミステリ&ホラー大賞 1次通過作
昨年、『第43回 横溝正史ミステリ&ホラー大賞』を受賞した『をんごく』(北沢陶 著)の興奮が冷めやらぬうちに、『第44回 横溝正史ミステリ&ホラー大賞』の1次通過作が発表されました。
⇧以前にもこのよう記事を書いており(実際に通過者である冬海凛さんからコメントを頂き驚いた次第)、今回も同じことをしようと思ったわけです。
すなわち。
1次通過作の中で気になったものをピックアップしていこう!!
です。
これは何も「2次に進むのはこれだろうな」みたいな評論家気取りの記事ではなく、あくまでも、「この書籍が刊行されることがあったら読んでみたいな〜」の目線で語る記事となっております。
※ピックアップする一部作品はカクヨムのサイトで閲覧が可能です(✒️マークを記しておきます)が、あらすじのみ、本編は読まずにコメントしていきます。
それでは、早速。
⇩1次通過作は以下の通りでした⇩
雪禍推想 亞沖青居
責 浅野皓生
死肉食む妻 雨宮酔
出会い系サイトで逢いましょう 雨坂羊
メイベルの墓碑に捧ぐ 池田行人
あかめんめ 椅子田文魚
沙羅の花闇 金雀枝葉
死に髪の棲む家 織部泰助
この地獄に劫火をくれてやる 可本波人
あの日に帰りたい 小場椰子
ハッピーマン 新木思生
神鳴り 高賀器用
ジャストワン・ミステリー 南炳
亞沖青居さん『雪禍推想』✒️
あらすじによれば、『雪』それも『猛吹雪』が舞台の装置としてあるようです。
タイトルの『雪禍』がそれを表していますよね。
猛吹雪を前にするとややもすれば人は無力になりがちですが、その中にあって密やかな計画を企てる者もいるわけで──。
ホワイトアウトをバックに、『雪禍推想』の字が浮かんだ装画が脳裏に描かれます。
雨宮酔さん『死肉食む妻』
タイトルのインパクトが凄い。
死肉を、妻が、食むのですか……?
ゾンビもの? あるいはカニ◼️リズム的な?
これだけで既に恐怖の萌芽がありますね。
妻とあるからには主人公は夫なのかしら。妻がある日、死肉を食むようになって……みたいな非現実的な導入があるのでしょうか。あるいは妻そのものが主人公なのか。うーん、気になる。
椅子田文魚さん『あかめんめ』
あかめんめ。
言葉の響きは可愛らしい。が、それは罠だったりします。こういう簡便な言葉の裏には、時に“その言葉へ落ち着くまでの過程”があり、それは即ち『あかめんめ』という存在が代々人口に膾炙されてきた──と言えなくもないのです。
すると、それだけ『あかめんめ』という怪異が人に与える影響が強い……とも評することができるのではないでしょうか?
本編を読んでいないので、実際には分かりませんけどね。
赤い目を持った怪異なのかな……と今は思っておきます。
織部泰助さん『死に髪の棲む家』✒️
死神と『死に髪』。この言葉遊びが既に私の興味を引いています。
あらすじによると、衆人環視の密室で発生した、胡乱な首吊り遺体に絡んだ故人の長髪──とあり、まさしくホラー&ミステリーの道をゆく作品なのだとわかります。
もうこれだけで面白そう。
犯人は人間なのか怪異なのか。
それでもって、『死に髪の棲む家』ですからね。何か曰くのある屋敷……というのも、ミステリ好きの興趣にあてがってはそそられます。
可本波人さん『この地獄に劫火をくれてやる』✒️
こちらもタイトルがかっこいいですよね。
てっきり陰陽師なり霊媒師なりが怪異に対して祓い落としする際の科白なのかなと思いきや、あらすじを読んでその印象はガラリと変わりました。
ガスマスクを付けた女子高生の集団。総理大臣を人質にテレビ局で籠城。要求は、「死刑囚の解放」。
社会派の側面を持つハードボイルドでありミステリであるとのことで、このテーマをいかに調理しているのか気になるところです。
この地獄はどの地獄か……。章題が(終章を除いて)「〇〇のはじまり」としているのも、キリッとしていて良いです。
新木思生さん『ハッピーマン』
一見するとコミカルなタイトルって、ページを捲った途端に凄惨なシーンをぶち込んでくる場合があるので、覚悟が必要なんですよね。
「カシマさん」や「口裂け女」のような、都市伝説に端を発していそうな「ハッピーマン」。
彼と出逢うと幸福になるのだろうか。はたまたどんな状況においてもハッピーを押し付けてくる怪異なのか。それによって心に異常をきたしてしまうのだろうか。
などと、想像が膨らみます。
脳裏に、不気味な笑みを湛えた『ハッピーマン』が黒の背景をバックに佇む画が描かれます。
高賀器用さん『神鳴り』✒️
神鳴り、は、雷とも呼べます。あらすじにもそのような事柄が書かれていました。
神の怒りに触れてとんでもない事が云々……と予想を立てていましたが、どうやら谷原という人物が謎多き女性と共に、“その地では目にしてはならないという雷”から落ちた「それ」を調べる内容とのこと。
主人公たちが自ら怪異の元へ近付き、それによって発生する異変をいかに対処し、最終的な真実へ辿り着くのか。
いいですね、終盤にかけて物凄く盛り上がりそうな気配を感じます。
さあ、というわけで。
気になる作品にコメントしていきました。
2次選考結果は二月下旬の発表です。
次はどの作品が残るのか。
楽しみにして待っていようと思います。
ここまでお読みくださりありがとうございました📚
皆様も気になる作品はありましたか?