見出し画像

【小説】ラヴァーズロック2世 #36「夕陽」

あらすじ
憑依型アルバイト〈マイグ〉で問題を起こしてしまった少年ロック。
かれは、キンゼイ博士が校長を務めるスクールに転入することになるのだが、その条件として自立システムの常時解放を要求される。
転入初日、ロックは謎の美少女からエージェントになってほしいと依頼されるのだが……。

注意事項
※R-15「残酷描写有り」「暴力描写有り」「性描写有り」
※この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません。
※連載中盤以降より有料とさせていただきますので、ご了承ください。


夕陽


家の前に女が立っていて、その傍らにはビスが寄り添っている。

あの野郎、すっかりなつきやがって!

こうして彼女の立ち姿を見ていると、初めて出会ったときのことを思いだしてしまう。

泥と汚物にまみれたワンピース……まるで死んだ牛の皮膚みたいだった。それに、アルマジロのしっぽにココナッツパウダーとパン粉をまぶしたような髪の毛。あれもひどかったなぁ……それが今ではどうだ。男物のシャツをライトブルーのワンピースのように着こなし、モンステラ柄のカーテン生地で作ったエプロンをして、サラサラの長い金髪はスイスコットン製の赤いバンダナでまとめいる。

ブルーバードよ、恐れおののくがいい、これが〈女〉というものだ。

彼女は依然として一言も言葉を発せず、笑いもしなかったが、時がたつにつれ機嫌のよさが表情に現れるようにはなっていった。

ある日、女はいたずらっぽい表情でブルーバードの顔を覗き込むと、爪先を使って地面に文字を書いた。

ここから先は

1,359字

¥ 100

期間限定!Amazon Payで支払うと抽選で
Amazonギフトカード5,000円分が当たる

この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?