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【小説】ラヴァーズロック2世 #53「婚姻」

あらすじ
憑依型アルバイト〈マイグ〉で問題を起こしてしまった少年ロック。
かれは、キンゼイ博士が校長を務めるスクールに転入することになるのだが、その条件として自立システムの常時解放を要求される。
転入初日、ロックは謎の美少女からエージェントになってほしいと依頼されるのだが……。

注意事項
※R-15「残酷描写有り」「暴力描写有り」「性描写有り」
※この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません。
※連載中盤以降より有料とさせていただきますので、ご了承ください。


婚姻


ロックはベッドの上で目を開く。まだ、意識も視界もはっきりせず、何もかもがぼやけている。

純白のボックスシーツがぴんと張られた広いマットレスに頬をつけていると、真っ平らな大雪原が地平線のかなたまで続いているような、寒々しいちょっとした恐怖に一瞬落ち込んでしまう。

次第に視界がはっきりし始めると、かれは目だけをぐるりと回しながら辺りを観察してみる。

白みかけた朝の気配が、動かないレースのカーテンをすり抜けて部屋に入り込んでいた。

また知らぬ間にベッドに潜り込んだのだろう、全裸の涼音が背を向けて眠っているのが見える。丸まった背中が白いサナギのように美しい。

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