【小説】ラヴァーズロック2世 #53「婚姻」
婚姻
ロックはベッドの上で目を開く。まだ、意識も視界もはっきりせず、何もかもがぼやけている。
純白のボックスシーツがぴんと張られた広いマットレスに頬をつけていると、真っ平らな大雪原が地平線のかなたまで続いているような、寒々しいちょっとした恐怖に一瞬落ち込んでしまう。
次第に視界がはっきりし始めると、かれは目だけをぐるりと回しながら辺りを観察してみる。
白みかけた朝の気配が、動かないレースのカーテンをすり抜けて部屋に入り込んでいた。
また知らぬ間にベッドに潜り込んだのだろう、全裸の涼音が背を向けて眠っているのが見える。丸まった背中が白いサナギのように美しい。
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