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感想「かくしごと」

かくしごとがYouTubeで全話無料だったのと随所で「面白かった!」と言われていたので視聴しました。


おもしろかったです。いい作品でした。

久々にアニメを観ましたが見事に魅了されました。
久米田康二作品や普通に他のアニメも観ようかな、となりました。

とにかく良い作品だったので、感想を。



OP ED


OPEDがワンクールほぼ固定で、毎回ほぼ同じ映像を見せるのって実はアニメ特有じゃないですか?
映画やドラマではストーリーが進行しながらテロップが流れたり、BGMだけだったりしますもんね。

とにかくそのアニメ特有のOPEDがとても綺麗でした。

OPは、flumpoolの高らかに歌い上げるイントロからぐっと引き込まれます。
そして季節の移り変わりと可久士と姫ちゃんの離別を想起させるような映像。
しょっぱなから不安にさせるような構図です。
その後も季節の移ろいを鮮やかな色合いで表現しています。この辺は「描くしごと」だからかな?

歌詞ともマッチしてますね。
可久士が姫ちゃんを海でおんぶする場面に「ありふれた日々」を聴かせるのがなんとも言えないですね。

サビは海沿いの場面から、妻の事を思い出し海をハッと見つめる可久士へ繋がります。
この要素が回収されるのはほぼ終盤なのにOPに入れるあたり、やっぱりわざと不安にさせようとしているのがみてとれます。

そして姫ちゃんと可久士が向いあうラスト。
二人のタッチが明らかに違いますね。姫ちゃんは写実的で可久士はイラスト的。

これも最終回で回収されるのですが、恐らく可久士の「漫画業」と姫ちゃんの「絵画の才能」の対比ですね。
最終話まで観てこそOPが輝くすばらしい例。僕もこれ書くために見直してはえーってなりました。

EDは懐メロであるところの「君は天然色」。
最近日本のシティポップめっちゃ流行ってますからね。
それにしても名曲です。金麦飲みたくなりますね
(余談ですが、くちびるつんと尖らせ…以降の歌詞は未知でした。CMに洗脳されていますね。)

青を基調とした夏らしい街並みを歩く姫ちゃん。
なんかペンギンみたいですね。かわいい。

歩く可久士。こちらは重い足取りにも見えます。
対比。

走り出す姫ちゃん。
アニメらしく、背後の壁がどんどんと果実やカセットテープ(!)やピンボール台(!!)などに鮮やかに彩られます。
この辺は原曲の時代にあわせてあるのでしょう。

印象的なのは可久士と姫ちゃんが公園で向かい合う場面。ストーリーでは終始成長後の姫ちゃんがの目のハイライトがない(後述)のに対して、ここでは可久士のハイライトがありません。
EDでは姫ちゃんはずっとおとななので、現在を描いているのでしょう。ずーっと不安を煽る画作りですね。

そして海へ向かうカット。OPもそうでしたが、海が重要なファクターのようですね。
海になんかあるのかな…(あります)

本編


これはストーリーを追って1話ずつ書くと終わらない気がするので、まとめての感想になります。
リアタイなら毎週書けたな…

物語の主テーマはもちろん「隠し事」でしょう。
1番近い親子という関係。しかも母がいないために互いに親子と呼べるのは二人しかいない。
その娘に隠し事をする父の葛藤や苦悩がコミカルに描かれていて本当に楽しめました。あと姫ちゃんがかわいい……


1話冒頭から現在の話、その後過去の話と行ったり来たり、というすこし複雑な構造でしたが、これは劇中でも語られた「ギャグ漫画はいつでも笑ってもらえるか?」という命題の実験であるように思えます。
ハイライトがなく、影が目立つ色使い、暗い声色で描かれる現在。
「なにかあったんだな」と想像せざるを得ません。その「なにかあった」という事実を強烈に残したまま日常がコミカルに進んでいく。


現実=我々が楽しむ日常パートには、劇中のように美談が付随したり、集団の意見に流されたり、というようなことはないので、多くの人が毎週笑って楽しんだと思います。
でも毎話必ず現実に引き戻される。
その落差と、結局どうなるんだと気になってしまうところが魅力的でした。


最終話の舞台は現在、でも可久士だけが思い出の中にいるような状態。
そのギャップがたまらなく悲しいですね。
そしてそのギャップを埋められるのは姫が突きつけた、「可久士の、姫へのかくしごと」なんですね。

「かくしごと」がどう明らかになるか、を綺麗に回収していると思います。
かくしごとによって現実と思い出が融合してラストの「18歳になりました」に繋がるわけですね。
12話しっかり観て、思い出を一緒に辿ってきた人には感動しかない。うるっと来ました。


小ネタ


・人物の名前や漫画あるあるなど、遊び心が随所にあって笑えました。

・キャラクターの個性の立ち方がすごい!
どういうキャラで、場面に合わせてどんなことを言うか、が分かりやすすぎる。
個人的に好きなのは合宿のシーンですね。
嵐のせいでやりたいことも出来ずストレスが溜まり、結局漫画に落ち着いちゃうところ、漫画愛が溢れてていい。

・十丸院、お前だけは許さないからな!!
(花江夏樹さんの好演!めちゃめちゃウザかったです!最高!)

・12話予告ラストが「私がお父さんのかくしご?」(だったかな)で終わるのが本当に意地悪いですね
「かくしごと」の三つめの意味を想起させて一週間待たせる。制作陣は鬼か?
リアタイだと悶々としたに違いありません。
実際は姫ちゃんは実の娘で(よかった)かくしごなのは可久士のほうでした。

・この辺の要素は最終回に詰めすぎな気もします。
13話までやってもよかったと思いますが、まあ制作の都合でしょう。

・最後、姫ちゃんが「ひめごと」をする側になるのも王道ながら「いいね~~~~~」ってなりました。ベタだけどそこが好き。

・キャラ名もそうですが、各話のサブタイトルが漫画のタイトルをもじったもので、それ自体も面白いですが、最終話が「ヒメゴト」なのはもうニクすぎますね。うまい。

まとめ

以上長々と語りましたが、久々にこんな良さを語れるアニメに出会いました。
最近アニメに触れてなかった(VTuberばっか見てた)のですが、アニメはいいものだと再確認できました。
これを機にほかのアニメや映画などにも観て、感想を書きたいです。

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