感想「イミテーションゲーム」
アマゾンプライムで見ました。
あらすじとしては、第2次世界大戦で用いられたドイツ軍の暗号機械エニグマを解読した天才数学者、アラン・チューリングの半生を描いたドキュメンタリー映画です。
ハッキリ言うと、ハマれませんでした。ここでハマれないと表現したのは訳があって、私が期待していたものとかけはなれていたからです。映画そのものはかなり面白く、鑑賞後の満足感の高い映画でした。ググってみても多くの人間に高く評価されていたので、あながち間違ってなさそう?
では何故ハマれなかったかというと、私が想像していた、暗号解読におけるロマン的な要素がかなり薄かったからです。
そもそもチューリングについてはwikiやらなんやらでそこそこの知識があって、暗号理論やチューリングマシンについても知らない訳では無いという程度でした。前評判で「面白そう」というのもあり、過度に期待(暗号機のシステムや解読の方法論など)し過ぎていました。
けど映画で描かれていた要素としては
「コミュニケーションが苦手な天才が周りとうまいことやって、最終些細なきっかけから成功に至る」
「特別な感情を抱く相手に対する葛藤」
「天才と機密の行き着く先」
「性的少数者や女性に対する価値観の現在との相違やそれにとらわれない人間の存在」
みたいな割と普遍的なものだったと思います。それを原因につまらんと断じているわけでは決してなく、むしろそういった要素によってストーリーに膨らみが出ているのかなと感じます。この辺のエピソードは実話でしょうし、昨今の要請を考えても入れてしかるべきとは思いますが、こういった主題の作品はほかにもあります。
むしろ、肝心の暗号解読パートが予想以上にあっさりと描かれていてびっくりしました。前半では、チューリングはひたすら謎の機械作ってるだけだし他の奴らはなんか書いて24時に悔しがってるだけです。どこにロマンがあるのでしょうか?
マシンが出来てからは祈ってるだけだし、実際どういう原理で、何をするためにマシンが駆動しているかもわからずじまいでした。
まあ、同僚目線からしても何やってるか分からないようでしたし、多分観客もわからない(僕も分かりません)ので、視点をそこに合わせるという意味でわざと解説していない可能性もあります。そうだとしたら脚本の妙がすごい。
これに限らず、「どうしてそうなる?」が目立つように感じました。例えば、チャーチルに対する直訴はなぜか通るし、(これはそういうものだと言われれば納得するレベルですが)クロスワードがどう解読に影響するかもわからないし、なぜかケアンクロスが同性愛者を見抜いたり、二重スパイであったり…
映画特有のあの(伝われ)ハラハラ感を味わったのも、終盤の仲間たちがマシンとチューリングを庇うために自らのクビを賭けるシーンと、パブで暗号探索の重要な糸口を得るシーンぐらいでしょうか。先の展開がどうなるかを僕が多少なりと知っているというのもあるんでしょうが…
まあこれはフィクションではなく伝記=事実なので、見える範囲の細部を精密に描いていてはとても2時間に収まるものではないでしょう。そう考えると必要な部分をうまくまとめてしっかり満足できる作品に仕上げた制作陣は素晴らしいのかも?
あと、時系列が行ったりきたりするのに最初は困惑しましたが、見失う程度ではなかったです。進むにつれてだんだんとストーリーの全体像が見えて来るような構造、僕は大好きです。
キャラクターレベルでいうとMI6の大佐とチェス名人がかっこよかったです。すべてを知り暗躍する有能とか、反発していたけどいざとなるとともに立ち向かっている男とか、かっこよくないわけがない。
ともかく、見て損はない映画でした。主題はありきたりだけどそれゆえ外さないし、盛り上がりもしっかりしているので満足感はあります。ただしかdな期待は禁物、という感じでしょうか…
嫌な物言いになってきたのでおわります。