No.008 浜村渚の計算ノート9さつめ 恋人たちの必勝法 青柳碧人 著
今回は『浜村渚の計算ノート』シリーズの最新刊の感想です。通算11冊目となる本作も、浜村渚ちゃんの数学への愛が溢れてました!読んだことのない方もいらっしゃると思うので、感想の冒頭では『浜村渚の計算ノート』の世界観をまず説明しますね。
「あなたの運命にしっかり赤黒つけてあげましょう」。カジノの地下にテロの首謀者が人質を取って立てこもった。ルーレットで玉が黒い数字に止まったら、どこかで爆発が起きるか人質が死ぬという。浜村渚はルーレットの数学的な「必勝法」、マーチンゲール法を知っていると言うが……⁉ほか全4編。
(出典 講談社文庫 あらすじ より)
〇キューティー・オイラーと皆藤ちなみ
まずは本シリーズの設定を説明します!
少年犯罪が急増する昨今、政府は義務教育の内容を一新した。他人を尊重し弱者をいつくしむ心を育成するため、芸術科目の比重を多くしていったのだ。必然的に他の科目の内容が次々と削られることになり、「物事を数値化し、数理現象・物理現象など事実だけを重んじる科目は、心を尊重し他人をいつくしむ人間性を否定しうる」という理由から、理数系科目の授業は大幅に削減されてしまった。
そんな政府にあるメッセージが送られてきた。Web上にあるフリー動画投稿サイトに映し出されたのは、一人の初老の男。彼の名は高木源一郎、後に”ドクター・ピタゴラス”と呼ばれるようになった数学者だった。
「私は、義務教育における数学の位置を向上させることを要求する。そのため、日本国民全員を、人質にすることにした。
全国の公立・私立の高校で使われてきた数学教育ソフトは、私が手掛けたものだということは知っているだろう?
このソフトにある種の信号をプログラムしてきた。日本国内の高校に通っていたことのある人間は皆、このソフトを通じての信号を受け取っている、予備催眠と受け取ってもらってもいい。
私は、その信号を使って、君たちの脳に直接語りかけることもできる。私が命令すれば君たちは『同様に確からしい』確率で殺人者にもなれるというわけだ。
数学の価値をもう一度考え直して欲しい。
この国の子どもたちに、もう一度、楽しい数学を。」
彼が率いる数学テロ集団、『黒い三角定規』は、全国でテロ活動を開始した……。
警視庁に設置された「黒い三角定規・特別対策本部」には、このソフトに関わったことのない人物が起用されたが、彼らは数学に疎い者ばかり。そこで、”数学好き”な一般の中学生・浜村渚を本部に迎え入れることになったのだった。
(浜村渚の計算ノート にさつめ P6~8)
この時点でもう、絶対面白い!って思いません?(笑)
最新刊では、先程説明した数学テロ集団『黒い三角定規』の幹部である、キューティー・オイラー、本名皆藤ちなみという女性がやはりキーパーソンでした。
『恋人たちの赤と黒』では、これまでも無邪気にテロを画策、実行し、警察を翻弄してきた彼女の元カレが登場します。
そんな雰囲気なかったので、昔は彼氏いたんだー、とびっくりしましたね。しかも、元カレも、キューティー・オイラーとこの元カレを取り合っていた女性もみんな『黒い三角定規』のメンバーだっていうんですもん。びっくり増しましでしたー。
ふたりの女性がバチバチと火花を散らしている間に、浜村渚ちゃんはテロリストを屈服させちゃうんだからすごいです。
今回私が面白いと思ったのは、マーチンゲール法というカジノで絶対に儲かる方法です。あ、でもこれには結構制約が多いので、絶対に儲かる方法って言いきっちゃうのはあれなのかな。
そんなこんなで、感想短くなっちゃいましたけど、『浜村渚の計算ノート』シリーズは数学嫌いな人でも楽しく読めると思います!興味ある方はぜひ!
一度読んだらきっと浜村渚ちゃんの魅力に嵌ること間違いなしです!