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組織風土改革日報№.10_コーチング講師に成る

①前回のあらすじ

2021年4月から自律分散型組織の企画運営リーダーとしてアサインされた私(キタ/北)
自律分散型組織を中核概念とした、人材育成の施策を考えていく内に、私のスキルであるコーチングを、部内に広めてはどうか。というアイデアがチーム内に共有される。
実現に向けてアレコレと動き回りながら、コーチング講習内容や、人選、上位部門の了承を頂き、何とか開催にこぎつけるのであった。


②コーチング講習に向けて。

2021年8月末日。
色々なプロセスを経て、ついにコーチング講習開催日を迎えた。
得てして講師というジョブに、一歩踏み入れた訳である。

コーチング。
細かな定義は多寡で二義的だが、概ね『相談者の目標達成を対話で支援する』行いとして理解頂いて差し支えないだろう。

そこに纏わる最低限必要なスキルと、最大限発揮すべきマインドを、私の中にあるものの中から、惜しげもなく存分にお伝えするつもりで、講習資料を作り込んだ。

私に与えられた時間は6時間。
たったそれだけの時間で、コーチングを知り、コーチングマインドを育み、コーチングスキルを使う所までを、やろうというのだから、分かる人には分かると思うが、かなりのチャレンジ企画である。

【講習の流れ~】

1日目:コーチングマインドを持つ

 1-1.ティーチングとの違いや概念(定義)、効果
 1-2.コーチングの歴史、スタイル(受容・共感・一致)
 1-3.コーチングの目的理解
 1-4.演習

2日目:ラポール形成について

 2-1.ラポール(信頼)とは何か
 2-2.コーチングピラミッド
 2-3.ラポールを築くスキル
 2-4.演習

3日目:コーチングの実践に向けて

 3-1.経験代謝サイクル(成長支援)の型を学ぶ
 3-2.演習
 3-3.GROWモデル(達成支援)の型を学ぶ
 3-4.演習

さて。講師としての私は、一体どのように受け取ってもらえるのだろうか。


③コーチングを伝えるという事。

いよいよコーチング講習が始まった。
彼らとの細かな描写を示すと、この日報が⑳くらいまで行ってしまいそうなので割愛するが、

非常に意味深い経験となった。

まず私は講師として以下の3つを心がけた。
1.教えてやるのではなく、私の知っている事をお伝えする。
2.楽しい時間になるよう配慮する。
3.受講者と共に学ぶ。

製造現場の『教育』は、”正解を与え”、”苦痛を我慢し”、”講師の話を一方的にINPUTせねばならない”。という時間が多い様に感じていたので、従来とは
全く異なる属性の学びがある事も、特徴としたかった。

結果から言うと、それらは受講者にキチンと伝わった。

分からない事は分からないと言い、
内省する中で、過去の自分の行いや、コーチングに対しての疑念を正直に口に出し、
講師や受講生同士が肯定的に、他者の存在を認め合う。

私自身が対人支援スキルを学ぶ中で、講師や同窓生と共に醸していた雰囲気が、伝播した様で嬉しかった。

特に心に残った出来事を紹介する。
それはあるメンバーの質問だった。

『私は部下を、正しく導いてやる事が出来るスキルを得れると思って参加した。だけど、人は変えられないと言われた。だから迷っている。』

彼は率直に心の中を吐き出し、私は素直に問いかけた。

「これまであなたは、その考えを基に、部下に接してきたと思います。部下には伝わりましたか?」

『伝わっているメンバーには伝わっています。』

「なるほど、全員ではないんですか。。。あなたの伝え方に違いはありましたか?」

『いや、部下には面談の時に、私の考えをしっかり伝えてきました。』

「そうですか。あなたは自分の考えを等しく伝えた。だけど部下によっては伝わる人と伝わってない人が居らっしゃる。それはどう捉えますか?」

『誰でも持っている考えや経験は違う。伝わらない人も居て当たり前でしょう。』

その通りである。それを言っているのである。

「今あなたが口に出した言葉は、部下は変えられないという事実を受け取っている様に感じますが、如何でしょうか?」

やや説得的だと感じながらも、私は彼の言葉を矛盾として捉えちゃったのだからしょうがない。素直に発言者に伝え返した。

『うん。。。だったらどうすれば?』

「そうですね。講習の中身を思い出すと、何かアイデアはありますか?」

少し内省し、息を飲んで彼は答えた。

『まずは部下の想いを聴く。』

「うん。まずは想いを聴く。それは大切?」

『大切かも知れない。結局共感してない事を上司から言われても身に沁みないからなぁ。』

「そうですか。あなた自身もそうですか?」

『確かに。私も仕事だからしょうがないと思ってやってるが、これまで部下がどう考えてるか、ちゃんと聴いた事は無かったかも知れない。。。うん、なんか腹落ちしました。有難う御座います。』

質疑応答の中から、自然発生的に生まれたセッションだったが、とても意味深いものの様に感じた。良いセッションだった。
聴いているメンバーも、何か感じる事があったに違いない。そう思った。

とまぁ、このようなやり取りを重ね、全3回の講習を終えた。

受講後のアンケート結果での、総合満足度は5段階中4.5という、中々の数値的評価結果を頂いた。

ふと思う。製造現場の教育とは。

収益を上げられそうな行動を取りうるからこそ優秀であり、優秀さを上司に伝えてこそ、監督者という地位を得られるとしたら、

彼らが上司となった際に、部下をどのように育成するか。チーミングするか。は、せいぜい上司の背中を見て育て、なのである。

つまり、組織を機能させる為のマネジメントに、上司を含め企業側が彼らに、きちんと必要な武器を持たせていないのだろう。

以前から私の中にあった仮説が、支持されたと感じた。

であれば。
私の中にあるものが、そういった悩めるメンバーの一助になるのなら、どんどん吐き出していこう!
それが私らしく働くという事だ。

かくして、この経験と結果を元に、私は職場において、コーチング講師という役割が確立された。

(この講師活動は、2022年の6月となった今でも継続しており、予定分も含めると約100人近い受講生へ、コーチングをお伝えしている。)


その頃、同時並行して進めていた、組織管理者達との週1ディスカッションで、潮目が変わる出来事が起こったのである。


日報⑩へ続く

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