大好きだからこそ。

★現実のエッセイネタが尽きたので
物語にしてみました
ティーンの女の子の話。(令和のな)★


いつものように、クラスメイトの優香と帰りの駅で電車を待っていると、優香に彼氏の大介とのエピソードをせがまれる。
「久乃ぉぉぉ、、大ちゃんとはどうなの?
大ちゃんとは。」
「えーーー普通普通。昨日は2人でマックで勉強して物理のわかんないとこをレクチャーしてもらって、私は英語を教えた。そんでね、そのあと大ちゃんを送ったついでに家に誰もいなかったから、玄関先で麦茶とアイスくれて、ついでにワンちゃんに挨拶した。」
「上がんないの?親いないのに??
絶好のチャンスなのに???」
「まぁそういうことは人間だから考えんでもなかったけど笑
いいの、昨日のところはワンちゃんに挨拶できたから。」
「えーーウソだぁぁ。ほんとにそう思ってる?
ってか普通大ちゃんが久乃を家に送るんじゃないの?笑」
「送られる?大ちゃんをママにみられんの?恥ずかしすぎんか。それ。彼氏できたことしか話してないよ」
「私はママに恋愛指南されてる笑
うちのママはそういう話好きみたい。
めちゃくちゃ聞いてくるから
もはやマサキとのことは逐一相談してる。」
「うわーなにそれ。マサキくんは平気なの?」
「そんなに引く??笑」
そんなことを言っていると、あっという間に優香が降りる駅についた。
「じゃーね、また明日。」
「うん、お疲れー。ばいばーい」
一人になってスマホを開くと
「火ドライレブンは『あの子の子ども』
16歳で妊娠のカップル亅という記事が目に付く。昨年大好きだった『ウソ婚』の枠で
今度は私たちと同年齢のカップルの妊娠を描いたドラマをやるらしい。ちょっとだけ見てみたいかも…

あっという間にテスト期間と夏休みが近づいてくる。この日は玄関先で大介と話していると、お母さんが帰ってきた。緊張しつつ挨拶をし、そそくさと退散した。
流石に帰宅して母に報告する。
「ねぇママ、今日さぁ学校帰りに大介んちの玄関先に居たらお母さん帰ってきて挨拶した。
なんか妙に緊張したわ亅
「ちゃんとご挨拶した?
お粗相しなかったでしょうね?」
「したよ!いつもお世話になっています、って。短すぎてお粗相するタイミングもなかったよ笑」
勉強を終えて部屋でテレビをつけているとたまたま例のドラマが始まるところだった。 
見逃さなくてよかった。
「初めては宝とが…」モノローグで桜田ひよりが言う。サチの気持ちと自分の気持ちがあまりにリンクして、何故か画面から目を背けたくなる。そう、私もそう思ってるよ、サチ…。
見進めればこれは、自分と大介にも「ありえるかもしれない」出来事なんだと益々思えてくる。他人事ではない。大介は運動部ではないけれど。だって、同じように私は大介が大好きだし福は宝が大好き。じゃあ、お互いをより大切にできる、現時点での「愛情の深め方」ってなんだろう。とりあえず、この気持ちを共有すべく、優香にtverのリンクをとにかく見ろ、と送りつける。見ないかなぁ。

★『あの子の子ども』がこの世の何処かに沢山いる久乃や大介や優香やマサキに届きますように、と勝手に妄想しながら。★