めくるめくオトナの世界

先々週ユーミンのことを書いたが、私は音楽にしてもドラマにしても、特にエンタメに関しては両親の影響が非常に強い。そんな私が、自分で「ディグった」という自負のある作家さんについて書きたい。林真理子さんだ。学科は違うが、尊敬する日芸の大先輩でもある。ティーンの頃から大好きな林さんが見せてくれた、めくるめく世界について記したい。

まず、私は林さんの小説から「オトナの恋愛」というものを知った。きっかけは小学生の時にドラマが大好きだったが母に怒られリタイアした「anego」の原作小説に、高校の頃リベンジしたこと。その後もたくさん読んだが、初めて読んだ「anego」は特に痛烈な印象を残した。
商社に勤めるOLの恋愛(不倫)を描いたこの小説は「オトナになったらこんなことが待っているのかぁ〜❤️」という、ちょっとした高揚感を私にもたらした。それが高じて高1の時、進路希望を書く際、大学卒業後の欄に「商社」と書いた記憶がある。英語が得意だったからというのは建前。商社に行けば「anego」のヒロイン、野田奈央子みたいな誰もが認める美人で聡明でモテる、自分の人生を謳歌するキャリアウーマンになれる?と思ったからだ。笑 
そもそもその計画、英語力的にも、聡明さ加減でも「美人」という条件面でも破綻している。(残念!)

さて、野田奈央子に憧れを抱いたティーンの私であるが、断じて不倫にときめいたわけではない。ただ、東京のど真ん中で大の大人が繰り広げる恋愛模様に、ウットリしたのだ。普段使いはマックやサイゼ、せいぜいがドトールやスタバのガキには、ホテルのティーラウンジでの待ち合わせの描写などは、とても眩しく見えた。
(あれ、いまもスタバやドトールが普段使いだぞ??)そして奈央子と沢木の妻の居ぬ間のデートの描写では「いつか自分も好きな人と、腕を組んで、ヒールをカツカツ言わせながら、東京タワーの近くを歩くのかなぁ✨️」とか「代官山のオシャレなイタリアンに行くのかなぁ✨️」とか、とにかくワクワクしたものである。これはまぁ小さい女の子がお姫様になりたいのと同じようなものだと思う。恋愛そのものへの憧れというよりも「バーキン」とか「マノロのピンヒール」とか「ホテルのティーラウンジ」とか「東京タワーがよく見えるバー」といった、わかりやすい記号的な描写に飛びついたのだ。

もうひとつ、ティーンの私が「anego」から学んだことがある。先週、中高の頃、同級生のあけすけな恋バナを忌避していたことは書いた。
「anego」には「うんと奔放なことを言ったりやったりするのは2人だけの時」といったようなことが書いてあったのだ。同級生に対して「カッコいい大人は2人だけの時にしか、核心的なことは言わないのに、なんでお前らは言っちゃうの?」という気持ちもあったかもしれない(笑)
とにかく「大人にとって、恋愛ってある種、究極のプライバシーなんだ」と、感じたことを覚えている。このことは、ひとつ人生観の基礎になっていると思う。  

そういえば「コスメティック」を読んで
奈央子に負けず劣らず魅力的なヒロイン
沙美に憧れ「外資の化粧品会社に勤めたい…🤤」と思って、高2の塾の目標シートには、そんなことを書いたことも思い出した。そのクセ、当時の私はCLINIQUEやエスティーローダーは、名前すら知らなかった。学校も家庭もイヤで、現実逃避ばかりしていたが、アホにもほどがある…。沙美や奈央子にはなれなくても(美人じゃないしね)
林さんのように大きな志を持って社会の中で仕事を続ける女性でありたい。