見出し画像

「つきあい」と「おつきあい」

社会保険労務士の山地です。

ひと月ほど前、こんなことがありました。

ある知り合いの女性が新しくビジネスを始めると聞いて、私はほんの気持ちばかりのお祝いを贈りました。

彼女とは実は、一度も直接お目にかかったことはありません。あるオンライン上の会合で2年ほど前に知り合いました。その後、ときどき困りごとの相談に乗るようになりました。

たいして力にもなれないけれど、こんな私でも頼りにしてもらえることがうれしく彼女の新しい門出をお祝いしたい気持ちだったのです。


それから約2週間後、彼女からいただきものをしました。これ、なに?となぜ彼女からいただきものをしたのか初めは理由がわからなかったのですが、もしかして先日贈ったお祝いのお返しでは?と推測しました。

もちろん品物だけでなく、お礼とともに近況をしたためた手紙と一緒に名刺が添えられていました。

私はちょっとひっかかることがあったので、彼女にメッセージを送りました。

お祝いのお返しを贈るタイミングはあまり早すぎないほうがよいのではないか、と。

贈り物をしたほうからすると、贈ってからいくらも経たないうちにお返しをされると突っ返されたと感じて立腹する人も世の中にはいるからです。

これは昔、まだ私が結婚していた頃夫から聞いた話です。夫の両親の実家はすぐお向かいのお宅で一人暮らしをしている未亡人と、そのお宅のご主人が亡くなる前からずっと親しく付き合っています。

一緒に食事に行くこともよくあり、たいていは夫の父が小さいながらも会社を経営していたこともあり、食事代はすべて支払っていたのです。

すると、間髪空けずに翌日にはごちそうになったお礼を持参されることが毎回ではないにせよよくあり、いい人だけど唯一それが気に入らないと夫の両親は言っていたそうです。

夫の両親からしてみれば好意でしていることなのに、突っ返されたような気分になるのだと。

まあそう言われてみればわからなくもありません。その話を聞いたときはそんなものかもしれないと思っていたのですが、ふとその話を思い出したのです。

別に私は気分を害したわけではありません。だから、余計なことは何も言わず黙って受け取るという選択ももちろんできたのですが、私はある意味勇気を出して彼女に告げたのです。


近所づきあいにママ友との食事会、サラリマーマンなら飲み会にゴルフにマージャンなど、私たちは人と「つきあい」をしていると言いますが、これは正確に言うと「おつきあい」であることが多いのではないでしょうか。

もう今から20年くらい前、カウンセリングスクールの人間関係論の授業で習ったのですが、「つきあい」の本来の意味は角と角を突き合わせるという意味から来ていると言います。

角と角を突き合わせれば互いに傷つく可能性があります。

信頼関係があればこそだと思いますが、正直なところこの2年間で彼女とどの程度信頼関係が築けているのか?確たる自信はありません。これを伝えることで、もしかしたら関係にヒビが入るかもしれません。それで関係が壊れるならその程度の関係であったとも言えるでしょう。

それでも、もしかしたら私が何も言わないことで将来彼女が本当に傷つくこともあるかもしれないと思ったのです。

結果、彼女は言いにくいことを言っていただいてありがとうございましたと言ってくれました。

人と人とが関わる以上、摩擦がいっさい起きないなんてことはありません。

互いに傷つかないように相手に合わせ、波風立てないようにやっていくということがいけないわけでは決してありません。

私たちは人と関わっていくなかで、誰と「つきあい」誰と「おつきあい」するのかを自然に決めているのだと思います。

皆さんは誰と「つきあい」たいですか? (*^_^*)

いいなと思ったら応援しよう!