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「働く人を犠牲にしていませんか?」
社会保険労務士の山地です。
前回はヘルパーさんの移動時間は労働時間なのか?ということについて、考察しました。今回もヘルパーさんの業務においてよく問題になる、キャンセルがあった場合の保証についてお話します。
ヘルパーステーションは施設の介護職と比べて、さらに深刻な人手不足に見舞われています。地方にいくと訪問介護を希望してもヘルパーさんが足りないために、仕事を受けることを制限しなければならない事業所もあります。
介護保険という国が運営する保険において事業を営むので、ある意味守られているといえば守られていますが、人件費率が非常に高く平均で70%前後、高いところだと80%だと聞いたこともあります。経営面では結構厳しいものがあります。
そこに加えて、困るのが利用者からのキャンセルです。前日までに連絡があれば、まだやりくりできるかもしれませんが、当日になってキャンセルされると予定していたヘルパーさんは仕事がなくなってしまいます。
そこで問題になるのが、休業保証です。
これも移動時間を正しく労働時間としてカウントされずに賃金が支払われないというのと、同じことが起きてしまうのです。
つまり、働いていないから賃金が支給されない。
労働基準法では使用者の責めに帰すべき理由で、労働者を休業させた場合は休業手当を支払わなければならないと定めています。
ちなみに休業手当の計算の仕方は
休業日以前3か月間に支払われた賃金総額を、暦の日数で割ります。この額の最低60%を支払わなければいけません。
利用者からのキャンセルの責任を事業主が負わなければいけないのは、事業主としては釈然としないかもしれません。
しかし、ヘルパーさんにしてみれば自分に責任のないことで急に仕事がなくなり、キャンセルされるたびに給与が支払われないのでは生活できませんし、安心して働けません。
利用者からのキャンセルはある程度、想定できる範囲内のことでしょう。そうなるともしキャンセルされた場合は代わりに何かほかの業務をしてもらうとか、利用者に対しても体調不良などやむを得ない場合を除いてキャンセルは○日前までにお願いするとか、対策を講じておく必要があります。
「福祉」は幸せという意味です。
みんなが幸せになるにはどうしたらいいかを考える、それが「福祉」の仕事です。訪問介護の利用者のために、サービスを提供するヘルパーさんが犠牲になるのは、本意ではありません。
利用者だけでなく、働く人の幸せも考えられる経営者であってほしいと思います。(*^_^*)