セクシャルハラスメントの被害者にならないための予防策について
「セクシャルハラスメント被害を避けるためには?」
愛媛県松山市でハラスメント対策に力を入れている特定社会保険労務士、酒井世津子です。
(こちらの画像は、いらすとやさんからダウンロードさせて頂きました)
企業様向けにハラスメント対策の研修やご提案を行う実務の中で、私は、一般社員様に向けて
「ハラスメント被害を回避するために」
と言う視点の研修を行うことがあります。
前回のnoteでセクシャルハラスメントについて記載しましたので、続きの内容として、
「セクシャルハラスメント被害に遭わないための予防や対策」
こちらを、今回のnoteにまとめてみたいと思います。
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目次
業務外でのランチや飲み会、カラオケなどに個人的に誘われたり、「1対1」の誘いはきっぱりとお断りしましょう。
自分の意見を、常日頃からはっきり伝える様にしましょう。
必要以上にプライベートや個人的な話をしないことを心がけましょう。
セクシャルハラスメントをされてしまったらきっぱりと「やめてほしい」と言う意向を伝えてみましょう。
会社の相談窓口や、社内で信頼できる人に相談が可能であれば、早期の時点でお話してみましょう。
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1.業務外でのランチや飲み会、カラオケなどに、個人的に誘われたりした時、また、1対1の業務外でのプライベートな誘いは、セクシャルハラスメント行為の被害を防ぐためにはきっぱりとお断りしましょう。
オフィスの中であれば、また、会社の環境の中であれば、セクシャルハラスメント行為が発生した場合、それらの場所が個室でなければ、一連の行為や出来事を他の社内の人が見ている可能性があります。
そのため、被害者が、
「セクシャルハラスメントの事実を上司や会社に伝えたい」となった際に、出来事についての客観性もあります。
しかし、会社の外、つまりランチや食事等の飲食の場であったり、密室のカラオケボックスなどは、周りに社内の誰もいない場所であるため、「出来事の客観性」を、被害者が会社や第三者に対して主張する際に於いて、立証する効果が弱くなる可能性は高くなります。
周囲に、誰か社内の人がいる環境であれば、常識的には、セクハラ行為は起きにくいともされています
繰り返しになりますが、職場環境を離れた飲食店や、密室にもなってしまう個室のカラオケなどは第三者の目もありませんので、セクシャルハラスメントが常習的になっている行為者の気持ちは、就労環境の場所よりも更に解放されてしまいます。
飲食の場で、アルコールなどが入ると、その傾向はより一層、高まります。
そして、被害者が苦痛に感じる言動も、普段以上に起こりやすくなります。
「仕事の話があるので、ランチや食事でもどうだろうか?」
「2人でカラオケに行きませんか?」
などと誘われたとしても、会社の外や業務時間外で、個人的に1対1になる事や、このような場所での面会・やりとりは避けましょう。
セクシャルハラスメント被害に遭う対象者は、真面目な方が多く、業務に関連する話があると誘われてしまうと、「仕事・業務のうちだから…」と考えて真摯に対応しがちなところがありますが、そのような場を持つ事はきっぱりと断りましょう。
セクシャルハラスメント行為者が上司や先輩であれば、きっぱりと断るには勇気が必要な場面も多いと思いますが、
「せっかくのお誘いですが申し訳ございません」と言うお詫びの言葉とともに、
個人的なランチや飲み会、カラオケお断りの代わりに、
「仕事や業務に関してのお話であれば、会社の中でお伺いします。」
などの言葉を添える様にすると、お断りしやすくなり、結果的にセクシャルハラスメントに遭う被害も回避できると思います。
また、個人的に2人だけで、会社の外で飲食や飲酒の場を持つということは、
「既婚者であれば、状況によっては不倫を疑われてしまう可能性からのトラブル」
「独身者であれば、好意があると思わる可能性からのトラブル」
も発生してしまいます。
お互いに、信頼関係が仕事を通じて構築されている安定した人間関係であれば、このような関係性や、個別に仕事の延長の場所でやり取りなどを行う状況はあり得ますので、全てがダメとは言えません。
しかし、
【セクシャルハラスメント被害を回避する】との観点からすると、
【勘違いをされてしまったり、誤解を招いてしまう状況を減らし、被害に遭わない様に注意していくことが大切】
と言えます。
2.自分の意見を、常日頃からはっきり伝える様にしましょう。
一例として、
「セクシャルハラスメント行為者が男性の上司」
「セクシャルハラスメント被害者が、行為者からみて同僚や部下となる女性の場合」
を挙げてみます。
行為者は、意識的に、または無意識のうちに、
「組織の中で立場的に自分より弱い人」
をターゲットにしている傾向があり、
また、被害者は、
「おとなしく従順なタイプの人」
「あまり、自分の意見を言わない人」
「はっきりした主張をしない傾向がある人」
「自分に抗議や反発をしない人」
などのタイプがセクシャルハラスメントの被害に遭いやすいというデータがあります。
1.で述べましたが、誘いを断りづらい時と同様に、
「きっぱり断る」
つまり、
「自分の考えや意見を普段から伝える」
と言うことが出来ていると、行為者からセクシャルハラスメント被害に遭う確率も低くなります。
しかし、現状としては、
やはり行為者が上司であったりすると、
非常に言いづらい…という場合は多々あると思います。
「角が立たない様に…」
「波風を立てたくない」
この様に考える方も、大変多いと私も実務経験から認識し、痛感しています。
けれども、行為者が被害者の本心に気づいてくれない以上、セクシャルハラスメント被害は現状維持、或いは、増長していく可能性があります。
黙って我慢していると、セクシャルハラスメントが長期化してしまい、また、事態もエスカレートしていく傾向が非常に高いのです。
被害者が、早い時点で身を守るためには、
「この様な発言や言動は不快です」
ということを、早期のうちに相手に伝達することも必要です。
行為者が、「相手は考えをはっきり言う人」ということが分かれば、職場環境で不快とされる出来事(性的な言動など)が、被害者に対して執拗に繰り返されることが改善されていく可能性も高くなります。
(但し、行為者の性質や性格・考え方やセクシャルハラスメントへの認識などにもよります。
その点につきましては、また改めて記事にまとめたいと思います)
3. 必要以上にプライベートや個人的な話をしないことを心がけましょう。
誤解のないように最初に申し上げておきますが、
「仕事で知り合う人は全員」「社内の人すべて全員」に対して、「一切、個人的な話はしないようにしましょう!」と言うことではありません。
コミニュケーションの中で、仕事以外のプライベートや個人的な話をすることが望ましい場面は多々ありますので、社会で生きていく上において、円滑な人間関係の構築や気持ちの良いコミュニケーションのためには、このような話題は必要でもあります。
しかし、「セクシャルハラスメントの行為者」に対しては慎重な対応が望まれます。
一般的に、これは誰に対しても言えることなのですけれども、個人的な話題や会話が増えてしまうと、どうしても人間関係の距離感は近くなります。
その様になってしまうと、セクシャルハラスメントの行為者が被害者に対して、
「仲が良い関係性」
「良好な間柄」
などと認識しますが、場合によっては、
「自分に対して、個人的に好意を持ってくれている相手」
エスカレートする事案では
「恋愛の対象」
この様に、セクシャルハラスメントの行為者がエスカレートして事態を誤って認識してしまう傾向があります。
また、その傾向は、「セクシャルハラスメント行為をしない人」に比べると、行為者の場合は「高い」と言えるからです。
万が一、異性としての特別な好意を持たれてしまうと、場合によっては、
「不倫の誤解」
あるいは、
「個人的に一方通行的な恋愛感情」
に発展してしまい、
「会社内や仕事の関係で、感情の行き違いから業務上でも様々な誤解を招く」
などのほかに、
「セクシャルハラスメント被害に遭う機会を作ってしまう可能性」
も生じてしまいます。
この辺りの状況判断は非常に難しい場合もありますので、その時々の状況や業務の兼ね合いから、個別の判断も必要である事もありますが、基本的には、「あくまでも職場の上司や同僚」
「取引先の関係者」
「仕事を通じての人間関係」
として、必要以上に個人的な話、プライベートな話をしない様にしながら、しかし、無視や失礼な対応にはならない様な、円満なコミュニケーションを心がける様にすれば、セクシャルハラスメント被害の防止に繋がるでしょう。
4. セクシャルハラスメントをされてしまったらきっぱりと「やめてほしい」と言う意向を伝えてみましょう。
セクハラ被害にあったときの対応。
これは、非常に難しいのが実情です。
しかし、例えば、
「体に直接さわる」
「手に触れたり、手を握るなどの行為
(ボディタッチ)」
これらを被害者が黙っていると、
「相手(被害者)が、自分の好意(行為や発言を含めて)受け入れている」
この様に、セクハラ行為者がポジティブに認識する可能性が高いとされています。
または、行為者によっては、
「被害者は黙っているので、他の誰にも言わないだろう」
などと、自分に都合よく解釈してしまう可能性があります。
【拒否している気持ちをはっきり伝えることが非常に重要】です。
キッパリと、
「やめてください」
「困ります」
などと伝える必要があります。
勇気が必要な場合もあると思います。
しかし、拒絶の気持ちを明確にして、行為者に対して伝達することが望まれます。
5.皆さんの会社で、セクシャルハラスメントやハラスメント全般の問題について、相談が可能で信頼できる人がいればその方にお話してみることも一案です。
また、2022年4月からは、中小企業もハラスメントの相談窓口の設置が義務化されていますので、
社内の相談窓口で話しても大丈夫だと言う安心感があれば、窓口に於いて、被害に遭ったセクシャルハラスメントの事実を相談してみることが、早期の解決につながることもあります。
ただ、セクシャルハラスメントについては、被害者が、それらの出来事や心情を他者に話すこと自体に抵抗感も大きく、
「それらの出来事を、あまり公にしたくない」
「誰かに加害者に対しての注意をしてもらっても、改善しない可能性が強い上に、却って悪化するのではないだろうか?」
と懸念することも少なくありません。
社内でセクシャルハラスメント被害が起きてしまった際は、その後の対応について、被害者が一番つらさを感じつつ、頭を悩ませてしまう出来事だと思います。
そうならないために、
・まずは予防を心がけて、自分の身や心を守ること。
・その次に、万が一、被害が発生してしまったら、慎重になりつつも信頼できる関係者に相談して、
大事に至らないうちに、スムーズに解決する働きかけを試みること。
これらの対策で、セクシャルハラスメントの被害を少しでも回避できることにつながれば、私も嬉しく思います。
ご参考になれば幸いです。