社労士的就業規則の作り方 16.5
鹿児島で社労士をしています原田です。
もくじを作っていたら、条文の抜けが見つかったので、16と17の間に挿入します。
みんな大好き就業規則です。人気爆発で、 #就業規則 がXの国内トレンドトップ100兆以内は確実だとうわさされています。
ここでは厚労省モデルを使って、社労士が就業規則に対してどうアプローチするかを案内しています。
第6章 賃金 第38条~
技能資格手当
多くの企業で採用されている技能・資格手当です。
有資格者の入社時に優遇する意味や、従業員が資格取得に学習するモチベーションアップに有効です。
中小企業の場合は特に、1行目の「その職務に就く者」は大事です。
時々、「資格は持ってるけどその職務はやりたくない」という人がいます。
業務に役に立たない資格でも、資格を取得しようと学習意欲があるのはいいことですが、役に立つ資格を持ってるのに、業務に活かしてくれないだけでなく、「資格手当だけはくれ」と言われると腹が立ちます。
企業の業務に有効であれば、国家資格でなくとも、検定試験や技能講習等も手当の対象にしていいでしょう。ただし、社労士試験のように実務能力ができることを担保しない資格もあるので、手当として永続的に出すのは検討が必要です。
金額は、5,000円以下のものもあれば、8万円ぐらいのものもあり、企業が何を必要としているかによって変わります。
いわゆる皆勤精勤手当
皆勤手当や精勤手当と言われる良好な勤怠状況に対して支給される手当です。
精勤:欠勤がないこと
皆勤:遅刻・早退・欠勤がないこと
と意味が違うので、使い分けた方が本当は望ましいですが、例え間違っていても就業規則で定めた定義の方が、社内用語として有効なので、指摘する場合は相手を見て考えましょう。
モデルのように、欠勤1回までの緩和措置を設ける場合もありますし、遅刻1回で手当がなくなる場合もあります。3回まで認める企業もありました。金額も数千円の小さいものから、数万円の大きなものまでいろいろです。
考え方としては、
① 金額の大小
金額が大きいと、やはり意識的に勤怠を守る意識が強くなります。実際はほとんど月で受け取れることになるので、欠勤等で減った時にダメージを負うことになり、反省を促せる効果があります。あまりに大きいダメージは、離職を誘いますし、減給の制裁とみなされる可能性もあるので要注意です。
② 段階の数
遅刻一発で無くなってしまえば、「どうせ手当が無いから、今月は遅刻や欠勤してもいいや」と解釈されるとその月中での勤怠不良を誘うきっかけになる可能性があります。逆にあまりに段階を作ると、ダメージに気付きにくくなり、勤怠不良の抑止効果が下がります。
あくまでもほとんどの従業員にはプラスで支出する手当なので、企業の収支や勤怠状況や従業員のモチベーション等を考慮して定めていく必要があります。
第2項は、精勤手当として引いてはいけない話です。
①年次有給休暇で手当てを消せば、労基法136条違反です。
②の業務災害時については、会社の安全配慮義務違反やそもそもが危険作業である場合等の業務災害と、明らかに本人の過失による業務災害で判断が分かれる場合があります。だからモデルでも「労働災害」とせず「業務災害」として、企業の責務を問われにくい通勤災害を除外しているのでしょう。
ただし本来の手当の趣旨から見れば、勤怠不良抑止の意識付けなので、業務上の災害で停止するのは整合性が取れないとも言えます。
しかし、業務災害で数カ月休むこととなった場合に、モデルのままだと精勤手当は支払うことになるので、別の条文等でもいいので、何らかの調整が必要だと思われます。
第3項は、遅刻〇回で欠勤扱いとする規定です。例えば2回だとします。
その場合2回の遅刻で1回の欠勤になるので、その時に精勤手当が減り、更に2回遅刻すると、合計2回の欠勤となり精勤手当が消えることになります。
これは、精勤手当の計算上の話なので、欠勤控除とは別の話です。
個人的には、5,000円~10,000円ぐらいが多いように感じます。また、精勤手当等が無い会社の方が多い印象があります。
こちらは社労士目線で作る時の話であり、モデル規則の解説に書いてあることには、あまり触れていません。併せて参照して理解することが必要です。
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