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日本のジェンダーギャップ指数を楽して上げる方法を考える

 数値の意味や目的を完全に無視して、数値だけを上げるために何をするのが効率的であるかを考える思考実験です。そのためこれは、社会に対する提案でも政府に対する要望でもありません。
いわゆる単なる数字遊び的感覚だとご理解下さい。

テーマ的には、できるだけ努力をしないで、楽して数字を上げることを目的にします。言ってるだけで既に不謹慎ですが、あくまで数字遊びです。

それでは世界経済フォーラムの発表するジェンダーギャップ指数を考えてみます。表現上で失礼な言い回しがあったりしますが、単なる思考実験なので気にしないことをお勧めします。

ジェンダーギャップ指数とは

 ジェンダーギャップ指数(Global Gender Gap Index、以下GGGIと略します)は、世界経済フォーラムという団体が毎年発表している指数です。近年はジェンダーもいろいろと言われていますが、主に男女格差を示す数字として算出されています。

指標になる数値は
1.経済参画(Economic Participation and Opportunity)
2.教育(Educational Attainment)
3.健康(Health and Survival)
4.政治参画(Political Empowerment)
の4点の平均値がジェンダーギャップ指数として計算されています。

目標と指針を決める

日本の2024年発表における数値は
1.経済参画 0.568 120位
2.教育 0.993 72位
3.健康 0.973 58位
4.政治参画 0.118 113位
となっています。
平均すると0.663で118位になっています。

とりあえず目標ランキングを50位だとすると、
50位のPanamaが0.742なので、その差は0.079
これは4つの平均値の差なので、合計数値の差は
0.079×4=0.316
を上げないといけません。

数値の満点が1.00なので、2.教育や3.健康の点数は既に満点近いので、効率の面から判断して無視することにします。

1.経済参画だけで挽回しようとすると、
0.568+0.316=0.884
になりますが、これは経済参画部門ランキング1位のリビエラ(0.874)より上になるので無理です。ということで、こちらは点数が足りない時に考えることにします。

政治参画の一番効率がいい方法を考える

政治参画は0.118なので、0.118+0.316=0.434
これは26位のポルトガルより少し上の数字になります。
1位のアイスランドは、0.972という驚異の数字なので、ここまでは無理ですが、何とか考えていきましょう。

政治参画の算出数値は
①女性議員の割合:Women in parliament 0.115
②女性閣僚の割合:Women in ministerial positions 0.333
③女性首相の在位:Years with female/male head of state (last 50) 0.000
となっており、点数は0.118です。これは平均ではありません。

数値計算上ではウェイトがかけられており、その割合は、
①Women in parliament 0.31
②Women in ministerial positions 0.247
③Years with female/male head of state (last 50) 0.443
となっています。トータル数字の4割が女性総理の在位月数でに重点が置かれているので、一番簡単に数字を上げるには、女性総理を作ることが簡単です。

他の数値を上げないで、女性総理だけ1年在位してもらうと、
①0.115 ②0.333 ③0.02
となり、政治参画全体の数値は、0.126になります。
GGGI全体の点数は、0.665となり一つ上がって117位になります。

自民党・立憲民主党・国民民主党の党首の任期は3年なので、2期やってもらうことにして、女性総理で6年続けてもらえば、
③の数字は0.136になり、政治参画は0.178、GGGIは0.678となり
111位までアップします。

元ドイツ首相のメルケル氏や元イギリス首相のサッチャー氏のように12年前後やって頂くと91位まで上がります。

議員の女性割合を考える

令和6年6月時の国会議員の女性人数と割合は、
衆議院で51名(465名中) 0.123
参議院で66名(247名中) 0.364
合計で 117名(712名中) 0.196

GGGIの数値は 列国議会同盟(Inter-parliamentary Union)の数値を使用しておりますが、そこに記載されているデータよりGGGIの数字が低いです。補選で増えた女性分を引いても、0.115にはならないので、勝手に0.196に修正することにします。

先ほどの女性首相6年在位に加えて、この修正をすることで、
①0.196 ②0.333 ③0.12 政治参画 0.196 GGGI 0.682
に変わります。これでも108位。

数字を上げるのはやはり簡単ではありません。

やっぱり経済面も考えよう

政治面で上げるのが、簡単では無いので、経済面もやることにします。

経済面の指標は5種類
①労働参加率の男女比:Labour-force participation rate 0.768
②同一労働の男女格差:Wage equality for similar work 0.619
③推定勤労所得の男女比:Estimated earned income 0.583
④管理的職業従事者の男女比:Legislators, senior officials and managers 0.171
⑤専門・技術者の男女比:Professional and technical workers 算定外

⑤が算定外なのは、そうした統計数字を取ってないからでしょう。
それぞれのウェイトは、
①Labour-force participation rate 0.199
②Wage equality for similar work 0.310
③Estimated earned income 0.221
④Legislators, senior officials and managers 0.149
⑤Professional and technical workers 0.121

⑤が算定外なので、日本の経済面の計算上では4項目の合計を1として、それぞれのウェイトを再計算しています。

ここでは、やはり極めて低い数字の④が一番の対策になるでしょう。
この数字もILOで算定されているILOSTATで公開されている数字が参照されています。そして日本がILOに提供しているデータは、厚労省が行っている「雇用均等基本調査」によって算出されています。

10人以上の企業に無作為で調査されるので、中小企業で割合が変動することは期待できません。なぜなら、役職者が10年以上固定されているなど、結構当たり前だからです。

また、海外で部下なし管理職が非常に少ないことに比べて、日本は部下なし管理職が非常に多い傾向もあります。つまり長年在職していたから管理職の名称を与えているパターンです。

 ということは、女性の名ばかり管理職を増やすことで、対応可能かもしれません。社会にとって誰一人喜ばない何の役にも立たない手段です。
しかし当たり前に、たとえ国が推奨しても誰も追随しないので、これも無理です。

ウェイトの大きい賃金格差で攻めてみよう

賃金格差は本来は、Executive Opinion Surveyの調査から求めているのですが、日本においてはその個別数値が明記されていません。

国内で国が調査しているデータは、「賃金構造基本統計調査」であり、その数値データと合致するので、これによって求められていると思われます。

賃金構造基本統計調査によって男女格差を求める場合に、
A:雇用形態
・正職員(正社員)で雇用期間の定めの有無
・正職員(正社員)以外で雇用期間の定めの有無
・臨時職員(臨時社員)
B:就業形態
・一般 or 短時間
C:役職
・部長級、課長級、係長級、職長級、その他役職
D:職業分類 等
といった内容で求められます。

但し男女間の賃金格差については、Bの一般労働者における男女間の平均で比較されています(残業代を除く)。
これだと長期就業の役職者が多い方が高くなってしまうので、格差解消にはなりません。男女格差ではなく、管理職が少ないから差ができてしまっているという、前の項目と同じ結果になります。

算出している統計上が、賃金統計や労働統計から算出している以上、役員や個人事業主は除外されるので、例え役員にクォーター制を入れても、GGGIの数字は変わらないことになります。

やはり経済は簡単に変わりません。

やっぱり女性議員数か

 女性議員比率についてはさらっとしか触れてませんでした。経済面で上げるのが難しい以上、やっぱり女性議員数で強制的にやってしまうしかありません。

 ということで、ウェイトから見ても小さいのですが、女性議員数を増やすことで、ある程度数字を作りたいところです。

クォーター制を入れてみましょうか。参議院は既に4分の1を超えているので、衆議院は117名まで増やさないといけません。
衆議院で117名(465名中)
参議院で66名(247名中)
合計で 183名(712名中) 24%→0.316

これでGGGIを計算すると、0.678
これで111位まで上がりました。まあ強制的に66人も増やしてもこの程度です。

思いきって次の選挙で衆議院の半分を女性にしてしまいましょう。
衆議院で233名(465名中)
参議院で66名(247名中)
合計で 299名(712名中) 42%→0.724

残りの数字を同じままで、再計算すると、GGGIは、0.708に上がります。
すると・・・80位まで上がりました。

これに加えて、メルケル氏レベルで12年間女性総理に活躍して頂ければ、GGGIは0.745ポイントまで上がり、45位達成になります。少なくとも12年後の話にはなりますが。

総括

イタリアはG7中6位で、全体で87位(0.703)なので、クォーター制を導入してもG7最下位は変わりません。

女性総理の超長期政権や、管理職統計を大企業企業限定にしてする等の荒業でもしない限り、50位達成は無理です。
ということで、結論は「GGGIは楽して上がらない」でした。

そもそもGGGIは男女比ではなく、
女性比率÷男性比率 なので、男性比率=1-女性比率
と同じになり、値が等しくなる程に点数が上がりやすくなっています。

つまり満遍なく点数が高い方が、トータル点数も上がるのです。低い点数を多少改善しても、非常に上がりにくい計算式になっています。

多少無理しても上がらないので、数字は気にせず、できることを少しづつやるのがいいでしょう。

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