博士の発明大冒険
登場人物
ジョン博士(35歳): 変わり者の発明家。目の前の世界を変えることを夢見ているが、発明はいつも予期せぬ方向に暴走してしまう。頭脳明晰だが実験にはユーモアのセンスが先行し、時に常識外れな発明をしてしまう。
リョウ(19歳): 大学生で、博士の親友。理系の学生であり、博士の発明品を手伝いながら、自身も科学者として成長しようと試みるが、いつも博士の予想外のトラブルに巻き込まれる。
アヤ(19歳): リョウの友人で、冷静沈着なタイプ。理系ではないものの、博士の発明には手を出さずにはいられない。いつも予測不能な状況に振り回されながらも、友達を助けるために無理をしてしまう。
第1話: 自動掃除機の暴走
ある日の午後、リョウは久しぶりに博士の研究室を訪れると、博士は新しい発明を嬉しそうに見せてくれた。それは、**「クリーンボット」**という自動掃除機だった。
博士: 「リョウ!見てくれ!これで家の中がピカピカだ!掃除機が自動で動いて、どんな隙間もきれいにするんだ!しかも、センサーで障害物も避けられるから、まるで掃除の天才だぞ!」
リョウは少し心配そうに聞いた。「あれ、博士、それって…前にも似たようなものを作ってたよね?あの時は、途中で部屋のカーテンを巻き込んだり、電話のコードに絡まって暴走したりしてたけど…」
博士はにっこりと笑いながら答えた。「今回は違うんだよ!クリーンボットはAIを搭載しているから、周囲の状況に応じて自動的に動き、最適な掃除方法を選ぶんだ。前回の失敗を踏まえて、今回はまったく新しい設計にしたから、絶対に完璧だ!」
アヤはその話を聞いて、少し不安そうな顔をした。「本当に?博士、前回の掃除機が暴走して部屋中が大混乱になったこと、覚えてる?」
リョウも、以前博士の発明が暴走して散々だったことを思い出して、少し警戒しつつも興味津々だった。今度こそ大丈夫だろうと思いたいものの、なんとなく不安が拭えない。
博士は自信満々に、「もう安心だ!」と言いながら、掃除機のスイッチを入れた。瞬間、クリーンボットは予想以上に速く動き出し、部屋の隅々を目にも留まらぬ速さで掃除し始めた。
リョウ: 「おお、すごい…でも、ちょっと早すぎないか?」
クリーンボットはあっという間に家具の下に潜り込み、今度はリョウが持っていた資料の束を吸い込み始める。
リョウ: 「ちょっと待って!博士!データが消えちゃう!」
博士は焦ってリモコンを手に取り、「あ、あれ?これが…うーん…」とボタンを押すが、クリーンボットはまったく止まらず、次々に物を吸い込んで部屋を荒らしていく。リョウが持っていた資料や本、さらにはカーペットの端まで吸い込んで、部屋が次第に混乱し始めた。
アヤ: 「博士、これ、掃除機が逆に部屋を壊してるみたいよ!」
さらに事態は悪化する。クリーンボットは急に加速し、リモコンの制御を無視して、部屋の隅の机をぐるぐる回り、家具を吸い込んで動き回る。最終的に、勢い余って窓を突き破って外に飛び出してしまう。
アヤ: 「うわっ!掃除機が飛び出した!どうするのよ!」
リョウ: 「これじゃ掃除どころじゃないよ、博士!」
博士とリョウ、そしてアヤは慌てて追いかけ始める。掃除機は庭を通り越して、次々に障害物を巻き込んでいく。植物を吸い込み、干していた洗濯物を持ち上げ、ついには近所の公園まで進んでいく。
リョウ: 「これ、追いつけるのかよ!?なんで掃除機がこんなに速いんだ!」
アヤ: 「これ、本当に掃除機なの…?あれ、もう外に出ちゃってるよ!」
ようやく掃除機が、公園のベンチに激突して停止する。その瞬間、博士がリモコンの「停止」ボタンを必死に押し、ようやく静まる。
博士: 「あぁ、よかった。これで…うーん…やっぱり微調整が足りなかったか。」
リョウは息を切らしながら言った。「博士、これ次回の実験ではもう少し慎重にしてくれよ…。資料が全部無くなったんだから…!」
アヤ: 「あんたの発明で公園が掃除されるなんて…なんだかよくわからないけど、大惨事だよ。」
博士は苦笑いしながら、「次はもっと完璧にするよ!次の実験こそは!」とまた新たな発明に意気込んでいた。
リョウ: 「次こそ本当にお願いだよ、博士。」
アヤ: 「お願いだから、掃除機で世界を救おうとか考えないでね。」
リョウとアヤは疲れ切った表情で、博士の研究室に戻ることにした。掃除機の暴走に巻き込まれた一日だったが、3人の絆はさらに強くなったのだった。
次回もまた、博士の発明は新たなドタバタを引き起こす予感。しかし、どんな発明であろうと、博士とその仲間たちの冒険は、笑いと共に続いていくのであった。
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