詰めが甘い
私は詰めが甘い。なぜなら後先考えずに突っ走ってしまい、自ら丸見えの大きな穴にはまってしまうからだ。
私は俗にいう、右脳人間である。直感的に物事を考え、「よし!やっちゃおう!」と純粋な心で出発してしまう人間である。
聞こえはいいが、なんの準備、調べもせず、ふりちんのまま高速道路を走ってしまう人間となんら変わりはない。そもそもこのエッセイ的文章もそうである。
本文は三作目である。ふざけた文章書いたら面白いんじゃね?と勢いでスタートしたものの、有名人でもない私の文章など、誰もたのしみにしてくれるわけがない。今更ながら、誰が読むのかと落ち込み出してきた。
右脳人間の典型である。
そんな私は会社のプロジェクトをやる開始直後はすごくワクワクする。
「えー、あれもやれる、これもやれる。あんなことも楽しいかも」ここで終わればよいのであるが、右脳妄想家は、この次に早くも成功した後のことを考える。
「これが出来たら会社から褒められ、会社に名を残し、有名になるだろう…」
狸の皮算用どころの話ではない。
こういう人間は100%の確率でプロジェクトを失敗する。
なぜなら、プロジェクトというものには必ず障壁が存在する。
製品の実現性、社内反対勢力からの指摘、流行の陰り、などなど、壁というものは幾重にも立ちはだかっているものである。
これらの障壁を優秀な方々は調査分析し、一つ一つ地道にクリアしていくのであろうが、右脳人間はそうではない。
脳内はすでに輝かんばかりの未来を妄想してしまっており、その妄想に取り憑かれてしまっている。もう抜けられないのである。
華々しい脳内にも関わらず、現実は次々と障壁が迫り来るのである。地獄である。
「あ、ちょっと、やめてください…」、「あ、痛い。きついかもしれません」などと、ちょっとした外部刺激により、お花畑にいたはずの体は傷だらけになってゆく。
気づけば、プロジェクトとやる気は衰退の一途を辿り、何もない結果が待っている。
本来、右脳人間に仕事などできるはずがないのだ。
背伸びをせずに、自分の殻に閉じこもっている方が良い。
そんな私であるが、最近は良い方法を見つけた。
最悪の結果を妄想するのだ。
妄想はお手の物である。
プロジェクト終了時には、何も出来ておらず、会社から不要と判断され、仲良くしていた後輩から蔑まれ、息子には口を聞いてもらえず、ギリギリの給料しかもらえず…
ここで困ったことに右脳人間の妄想力は果てしなく続くことに気づく。
まだ起きていない壁にトラブルを感じ、それがストレスになり、最近は頭頂部が薄くなってきた。
右脳人間とは、かくも生きにくい人種である。合掌。