得意なことがあったこと
自分の心に響いた音楽を説明するシリーズ第2弾。
今日はBUMP OF CHICKENの「才能人応援歌」を取り上げていこうと思う。
この曲には幾度となく救われた。
浪人時代、予備校の自習室や帰り道で毎日のように聴いて何とかメンタルを保っていた。
しかし、今よくよく聞いてみるとこの曲の歌詞は結構ズバズバ心に刺さるものが多い。
まず冒頭の歌詞から。
「得意なことがあったこと 今じゃもう忘れているのは それを自分より得意な誰かがいたから」
当時の僕にとっても、今の僕にとっても非常に納得感のある詩だ。
小学校のころの僕は、自分で言うのもおこがましいが勉強ができる生徒だった。ひとえに熱心に教えてくれた母のおかげである。
平日、土日問わず勉強を強制的にやらされた。英単語が覚えられず泣いた日は数えきれない。
でも母のスパルタ教育のおかげで僕は小学校での自分のキャラクターを確立することができた。勉強が得意であるというアイデンティティ。
50人ほどの学年で上位層になるのは難しくなかった。自分に自信を持つことができた。
同時に大きな勘違いもしていた。自分は人よりも優れているという思い込みが生まれたのだ。
中学に進学し環境が変わり、自分より上がごまんといることを知った。
この曲の冒頭はそんな自分に錨のように重く突き刺さった。
上を見るときりがない。何かに挑戦して1番を目指すときに必ずぶち当たる壁だ。
得意なことが自信をもって得意であると言えなくなる瞬間は誰にでもあると思う。そんな当たり前のことをこの曲を聴いて改めて知り、安心感を覚えた。
話は曲に戻り、この冒頭の後歌詞はどんどんネガティヴに表現されていく。
「期待されるような命じゃない」
「問題ないでしょ 一人くらい消えたって」
「死にたくなるよ なるだけだけど」
字面だけを見るととても聴きたくないと思う。
ただメロディがとんでもなく良い。心の底からふつふつとエネルギーが湧いてくるような疾走感溢れる曲調に心が大きく揺さぶられる。
声を上げられない弱者が静かに反撃にでる。
何かに向かって頑張っているときにこそ聴いてほしい。
そんな珠玉の一曲だ。
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