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2024個人的ベストミュージック15(プレイリスト編)

年の瀬ではありますが皆さん年間ベストとか考えてます?音楽じゃなくても映画、ドラマ、本、ゲーム、食べたものでもなんでもいいので振り返って何かにまとめておくと数年後の自分が楽しいですよ。そして私にも教えてください。
昨日のソング編に続いて今日はプレイリスト編。読んでくれた方に1曲でも知らないお気に入り曲が見つかったら何より。

15.『Family business』Lawrence

70sファンク・ソウルそのままのグルーヴに塗れるという感じ。そのうえでよりハリウッドとかブロードウェイ的な華やかさが増されていてライヴで観たらめっちゃ気持ちいいやつ。来日しないかな。

14.『離婚伝説』離婚伝説

アルバムで聴くと改めて80sサウンドへの偏愛っぷりが極まっている。爽やかなブラスとギターカッティングに載せて<渚のランデブー>と歌う"眩しい、眩しすぎる"などそのまますぎてニヤリとしてしまう。そんなオマージュたっぷりのサウンドながら、柔らかいファルセットが気持ちいいヴォーカルが重なるところが懐古的ではない存在感になっている気がする。

13.『NEW BERRY』フィロソフィーのダンス

メンバーの入れ替わりがあり新体制での初のフルアルバム。初期はサウンドもヴォーカルもすべてフルパワーで濃厚だったのが、最近は少しファニーな余白を感じさせるような軽やかさを感じる(それでも他と比べたらめちゃくちゃ濃い味だが)。どちらもそれぞれ良さはあるが、本作はより表現のバリエーションを感じさせ、メンバーの表現・魅力をいかに多様に見せるかというところに重心がおかれている点ではよりアイドルのクリエイティブになっているとも言える。

12.『see you, frail angel.sea adore you』Homecomings

ホムカミの音楽を聴いていると、自分の頭の奥にある思い出が掘り出されることがある。必ずしも曲で歌われていることと繋がっているわけではないのだが。抽象的で散文的な歌詞、緩急すらも大きな一つの流れに感じるようなギターサウンド。そこに自分という存在を代入すると、人それぞれ別の記憶が去来するのかもしれない。これこそが普遍ということか。

11.『SHINBANGUMI』Ginger Root

何故か80年代の六本木あたりに閉じ込められてしまったアメリカ人シンガー。本来欧米への憧れ的な要素があった日本文化をアメリカ人がパロディするという謎の構造。『SHINBANGUMI』という表記、当時あった日本語をそのままローマ字で表記するデザイン的なトレンドさえも想起させているのはさすがにたまたまか。

10.『ロンリーパラドックス』レトロリロン

ジャジーだったり、クラシックだったり、それでいてヴォーカルはロックっぽかったり。1曲の中でジャンルが混ざり合って良くわからないけど最終的にポップスとしか言えない着地になっている。不思議な味わいながら、でもこれこそがJ-POPとしてスタンダードな気もする。

9.『POP OUT!Ⅱ』 First Love is Never Returned

今や死語ではありますが、現代に「トレンディ」という概念があればその名を冠していただろう音を鳴らすバンド。華やかで色気のあるヴォーカルが洒脱なサウンドと合わさって都会のネオンが浮かぶよう。

8.『indigo hour』私立恵比寿中学

先行リリースした"BLUE DIZZINESS"など近年のK-POPのトレンドど真ん中のサウンドをえびちゅうサウンドとして換骨奪胎した楽曲が続いていたが、アルバムではそれらを軸にしながら"STAY POP"などの正統派アイドルポップ的な楽曲なども入れてバランス感のある1枚に着地している。

7.『What A Wonderful World』Negicco

こんなに主語の大きいタイトルながら、収録曲のそれぞれは日常の些細な機微を丁寧につまみあげるようなささやかさがある。<まるばつさんかくしかくだけで決められないことばかりだ>(まるばつさんかくしかく)、<「全部厄年のせいだ!」今はこれで乗り切ってます>(Walk With)などの歌詞をウェルメイドな音に載せて歌うことが結果的に日々と地続きの世界自体への賛歌のようなものになる、これこそがポップスの持つ強度だと思うのです。

6.『PEAK TIME』礼賛

ラランド・サーヤと川谷絵音という2つの才能のつばぜり合い。サーヤのギラギラとした尖った部分を生かしつつ、川谷のクオリティコントロールがより万人に届くようにエディットされている感覚。"スケベなだけで金がない"なんて曲、このバンドでしか出てこないアウトプット。

5.『The Birth and Death Of The Universe Through Mount Fuji』3776

富士宮市のご当地アイドルの5年ぶりのアルバム。「宇宙の始まりから、終わりまで」と「だれかの高校入学から卒業まで」を重ね合わせたコンセプトは百歩譲って受け入れたとしても、バックコーラスでずっと時間の経過を表現するためにアト(100京分の1)とか無量大数とか単位を数えて続けているのは完全に狂気の沙汰。万人におすすめは出来ないですが、比喩表現でなくこれは現代アートなので、こういう音楽があるということだけでも今日は覚えて帰ってください。

4.『adieu4』adieu

自分の技術を見せびらかすようなタイプのヴォーカルが苦手なのですが、adieuの歌唱はその対極にあるように感じます。楽曲のコンセプトに寄り添い、チューニングするような丁寧な表現。それこそがadieuとしての圧倒的な個性になっています。昭和歌謡的な慕情を感じさせつつ、客観的な距離感を持った現代的なミディアム・ダンス・チューンに着地している”ソウルメイト”などは特に白眉。歌い方次第ではダサいニュアンスが出かねないところをしっかり表現しきっていて、本当に歌がうまい。

3.『自然』fishbowl

今一番勢いのあるアイドルFRUITS ZIPPERの数々のバズ楽曲の制作で知られるヤマモトショウがメインプロデュースしている静岡県のアイドル。収録曲すべて漢字2文字、かつ数字がゼロから10まで続くという椎名林檎のアルバムかというような徹底っぷり。メンバーの声質に合わせたパート振り、ダンスミュージックの軸がありつつアルバム全体としての多様なアレンジ、そして当然キャッチーなメロディ。2024年を、いや文句なしに2020年代を代表するアイドルソングの名盤。

2.『LIFE GOES ON』Shiggy Jr.

30代も半ばになってくると、一度休止したバンドが活動再開することもあります。わが青春のバンド、Shiggy Jr.復活だけで感謝の気持ちで一杯ですが、そこでリリースされたEPのタイトルが『LIFE GOES ON』なのは本当に沁みる。地に足付いた強度を増したポップバンドが返ってきた。

1.『Aooo』Aooo

昨年の個人的1位だった石野理子(元赤い公園)がヴォーカル、人気ボカロPのすりぃとツミキ、YOASOBIのサポートベースなど務めるやまもとひかるの手練れ4人による新人バンド。ボカロシーンのロックサウンドは明らかに2010年代の高速四つ打ちの流れを受けたものであり、疾走感とひねくれたポップさが混ざり合った楽曲がバンドサウンドとして演奏されるのは、原点回帰のようでしっくりくる。1stアルバムである本作はメンバーの個性が歪なまま形になっていく様がパッケージングされており、ざらつきが心地よい。

1.『Aooo』Aooo
2.『LIFE GOES ON』Shiggy Jr.
3.『自然』fishbowl
4.『adieu4』adieu
5.『The Birth and Death Of The Universe Through Mount Fuji』3776
6.『PEAK TIME』礼賛
7.『What A Wonderful World』Negicco
8.『indigo hour』私立恵比寿中学
9.『POP OUT!Ⅱ』 First Love is Never Returned
10.『ロンリーパラドックス』レトロリロン
11.『SHINBANGUMI』Ginger Root
12.『see you, frail angel.sea adore you』Homecomings
13.『NEW BERRY』フィロソフィーのダンス
14.『離婚伝説』離婚伝説
15.『Family business』Lawrence


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