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vol.34 島のハロウィン

毎年この時期になると「英語で遊ぶ会」の子どもたちに、「もうじきハロウィンだけど何したい?」と聞いている。カボチャのクッキー作りをしたり、仮装をしてTrick or Treating に出かけたりしている。

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今年も仮装した子どもたちを連れて、あらかじめお願いしておいた家々をTrick or Treating してまわってきた。途中、計画していなかった嬉しいサプライズもあった。集落を歩いていると、観光会社の事務所から「なにやっているの?」とお姉さんたちが出てきてハロウィンの仮装だと分かると子どもたちにお菓子をくれた。子どもたちは、満面の笑みで「Thank you〜!」などと言いながら嬉しそうにスキップしていた。

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竹富島でカフェを営んでいるアメリカ人のマイクさんとユキさんにも事前に声をかけていた。Trick or treating の相談に行ったときには、マイクさんが子どもの頃に体験したアメリカでのハロウィン話しで盛り上がった。コスチュームは全部手作りだったこと、友だちと連れ立って近所はもちろん隣の町までTrick or Treating にまわった話し、母親がハロウィンが大好きだったことなどを、リズミカルに話すマイクさんを見ていたら自然と笑顔になった。

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私のアメリカでのハロウィンの思い出は、ジャックオランタンを作るために母に連れられて近所のファームまでカボチャを選びに行ったこと、姉と弟と私で、誰が1番お菓子をもらったか見せ合いっこをしたことなどだ。私たちが大学生になり、家から離れて行った後も、母は毎年玄関を飾り付け、近所の子どもたちが訪問するのを楽しみに待ち構えていた。「今年も大きな魔女を作って玄関に飾ったのよ。みんなびっくりしていたわ。小さい子たちがいっぱい来たの。可愛かったのよ」と弾む口調で話す母の声を思い出す。そして、ふと気づけば参加者のお母さんたちに、「子どもたちがどれだけ可愛かったか」を熱く語る自分がいる。

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この時期のアメリカでは、ジンジャーやシナモン、クローブなどのスパイスをふんだんに使ったパンプキンパイが美味しかった。今でも時折無性に食べたくなり、パンプキンパイ風のものを作っては、「ちょっと違うな」などと呟きながら沖縄、八重山での短い「秋」を楽しんでいる。

お祭りは、国々や地域によって祝い方や楽しみ方がそれぞれ違う。そして、その日に向かって準備を進めていく過程には、国々や地域の在り方や文化が詰まっているように感じる。

朝夕肌寒くなってきた八重山、そろそろスパイスの効いたパンプキンパイが食べたくなってきた。

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【水野暁子 プロフィール】
写真家。竹富島暮らし。千葉県で生まれ、東京の郊外で育ち、13歳の時にアメリカへ家族で渡米。School of Visual Arts (N.Y.) を卒業後フリーランスの写真家として活動をスタート。1999年に祖父の出身地沖縄を訪問。亜熱帯の自然とそこに暮らす人々に魅せられてその年の冬、ニューヨークから竹富島に移住。現在子育てをしながら撮影活動中。八重山のローカル誌「月刊やいま」にて島の人々を撮影したポートレートシリーズ「南のひと」を連載中。


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