スポンサーアクティベーションとは
スポンサーを始めたきっかけ
2012年にスクアドラというチームウェアのブランドを始めたわけですが、もちろん最初はだれも知らないブランドで、ブランドの認知が急務だったわけです。
たくさん売りたい、要は売上を伸ばしたいという目的もありますが、その上位の目的は、チームという共働態を通じて世の中がもっと良くなればいいのになぁ。という目的の目的がありました。
それは、企業を経営するうえで売上至上主義的な風潮も現実にはあって、そこに抗うというか、問題意識がありましたのですが、それはまた追って書きます。
ブランド認知のために、頑張って営業するだけではなく、プロスポーツ球団に着用してもらってスクアドラのロゴを掲出して宣伝しようと思いました。
こちらから売り込みなどはしたことがないのですが、2012年にブランドを始めるきっかけとなったのが、当時bjリーグというプロバスケリーグがあり、大阪エヴェッサというチームのサプライヤー(ユニフォームを無償もしくは格安で供給する代わりにロゴを掲出してもらう)をしてほしいというオファーがあり、こちらとしては願ったりかなったりで2年間行いました。
翌年には、私たちの本社がある奈良県に本拠地をもつ bjリーグ バンビシャス奈良のサプライヤー
サッカーでは、これまた奈良県が本拠地の 当時両方とも地域リーグでしたが、ディアブロッサ高田 奈良クラブという2チームのサプライヤーを始めました。
そして、今年度から広島県の地域リーグからJリーグを目指す福山シティクラブのサプライヤーも始めました。
他競技では、
Vリーグ(Div1)大分三好ヴァイセアドラー
Vリーグ(Div3)奈良ドリーマーズ
フットサル 関西リーグ バディフットサルクラブ
フットサル 関西リーグ コンフィアンサ
陸上 Dream A.T. 平田治 川崎友輝 など
この10年ぐらいでだいぶ増えました。
どのチームも小さなというか、ビッグクラブなどではなく、まだまだ経営的にも大変なクラブばかりなのと、トップリーグを目指しているチーム、そうではないチームなど様々ですが、サプライヤー(スポンサー)をやっているうちに、スポンサーの在り方というものが少しづつ見えてきました。
スポンサーというものへの問題意識
というのは、当初こちらも宣伝広告効果を大きくしたいし、チームは資金や物資が足りません。こちらもなるべくロゴを掲出してほしいし、先方は資金や物資をたくさんほしい。その関係になります。
ただ、①田舎の小さなチームに商品を供給(サプライ)し、ロゴを掲出してもらっても、全国規模でのブランド認知にはならない。もちろん一概には言えませんが、なかなかコンバージョンも取ることができず、どれだけ広告効果があるかが測れません
②そして、チームからすると、財政面で厳しくなってくると、いわゆる「お願い営業」になってきます。「たいへんだから資金ください」「このままではライセンスが取れず降格するから助けてください」的な営業になってまいります。
こうなってくるとあまりお互い前向きに認知度を上げていこうというよりかは、いかに続けれるか?というところに焦点というか目的が移ってしまいます。
しかももう一つ弊害というか、お互いのチカラ関係が均衡している(つまり、お互いの規模感やブランド認知度が同じぐらいの場合)は、うまくいくのですが、大口スポンサーなど、チカラ関係が均衡していない、一方がものすごい大きい場合は、不満が溜まりやすく、関係解消になりやすいというのも多くみてきました。
それを見るうちにスポンサーの在り方というのは、本来もっと違うものではないのか?という問題意識がムクムクと湧くと同時に、どうしたらよいかよくわからない状態、もやもやした状態が続いておりました。
スポンサーアクティベーションとの出会い
その時にある方のお聞きしたのが、
スポンサーアクティベーションという言葉でした。最初はなんのこっちゃでした(笑)
Activation Activateの~化 なのはよく考えるとわかりますし、元はActiveですから、能動的にすること、とか行動的なこと、とか、活性化とかそんな意味であろうことは想像が付きますが、では実際にどんなことなのでしょうか?
これのツイートをしているのは、
ミッションスポーツの満田さん。彼とは福山シティクラブの方針発表の記者会見でご縁をいただきましたが、電通におられた方がで大きな仕事しかしていないのか?と思いきや現在は福山シティクラブのようなチームのサポートもしておられて、彼が仕切りに周知させようとしているのが
スポンサーアクティベーション です。
私も最初は何のことか?わかりませんでした。しかし、よく考えていくうちいくつか気づきがありました。
① スポンサーは、チームに対し自社の商品の宣伝を依頼しているのではないか?
②ということは、スポンサーという企業は、あくまで受け身、受動態であり、能動的ではない。
③よく考えたら、チームは広告代理店、メディアではないわけだから、宣伝できないはず。
④ということは、チームに自社商品を紹介してもらうのではなく、(全くないわけではない。もちろん宣伝はしてもらってもいいのですが)、プロスポーツ球団のリソース・価値を、スポンサーが無料なり、有償で使わせてもらって、つまり、その使用する権利を得て、スポンサーである会社が能動的に、(行動的に)自社の商品やサービスを世に問う(売り込む)ツールとして積極採用しないと意味がないのではないか?と気付きました。
これは結構大きな気づきで、
知らず知らずの間に、「お金を払ってるんだからやってくれよ」「ユニフォームを提供してるんだから、もっとロゴを掲出してくれよ」というあくまで受動態の動きに変遷してしまっているのでないか?という気づきがあります。本来、ブランドは、自社の商品をもちろん積極的に宣伝します。その行為は「能動的」です。
ただ、それをスポンサーという第三者が絡むことで、逆に受動的になってしまっている。また、いままでの社会が「お金を払ってるんだから、宣伝してくれよ」という外注精神というか、マウントを取りに行く感じの社会であり、その名残がこの考え方に陥りやすいのではないか?と感じています。
具体的にどんなことなの?
わかりやすく言うと
プロスポーツ球団は、多少小さいチームでも現在はそれなりのSNS戦略を行っており、Bリーグバンビシャス奈良でも、ツイッターのフォロワーは、1.6万人います。
スポンサーは、そのメディアを使って商品を売りたいですから、そのSNSで宣伝してくれ。といいますが、それはアクティベーションとはかけ離れた受動態な宣伝であり、(もちろん、それもチーム側からすれば、やっていいです。否定はしません)能動的ではありません。
そうではなく、大切なことは、例えば
自社の商品ポスターやカタログ、WEBなどのモデルに選手を起用し、チームの価値を利用して(使わせてもらって)自社が積極的に(というか通常通り)ブランド認知やサービス周知をすることだと思います。
これは真逆のことなので、なかなか気付きにくいんのですが、
アクティベーションという言葉の意味をよく理解し、実際にスポンサーをし、自社の営業にどう活かせるか?ということを真剣にやっていればおのずと見えてくる可能性があります。
共に企業価値を高めようとする観点
いま、東京オリンピックが延期かどうか?話題沸騰ですが、オリンピックにはスポンサーがたくさんついていますが、競技場などでは、ロゴを掲出されません。という意味ではプロモーションは難しいと思いがちです。しかし、オリンピックのマークはある一定のスポンサーになると使う権利が与えられます。なので、その権利を使用しスポンサーたちは「自社の宣伝でオリンピック」を使います。
そこで一つ問題なのは、その権利の価値が小さいチームもたくさんあることでしょう。
スポンサー額に見合わない権利しか持っていないチームもあるかもしれません。
だからこそ、そのチームという主体は、自らの価値を高めようと、強くなることや、SNSの発信や、地域に根差すことやいろんな手段を使って企業価値を高めるのです。そうです。一般の会社と同じです。
一見華やかに見えるプロスポーツ球団も、一般企業と同じように企業価値を高め社会に貢献しようとしています。なので、現在の価値が低くても自社と同じように「共に」企業価値を高め、世の中がよりよく、より幸せな社会になるように、一緒に高め合う同志になれば、うまくいくのではないかと思います。
’73年生。大学卒業後、大阪の中堅会計事務所で10年の税理士業務を経験した後、’11年同社入社。翌年、チームウェアブランドSQUADRA(スクアドラ)の立ち上げ。’12年代表取締役就任。Bリーグ、JFLなどのチームのサプライヤーも担当する。昇華プリントが世に広まるきっかけを作る。