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トヨタ生産方式(TPS)用語集

ア行
・後工程引取り   ・後補充   ・アンドン   ・内段取り
 
カ行
・改善   ・可動率   ・稼働率   ・かんばん(/ 仕掛けかんばん,/ 工程内かんばん,/ 信号かんばん,/ 引取りかんばん,/ 運搬かんばん,/ 外注かんばん,/ 臨時かんばん)   ・かんばんのサイクル   ・工程の流れ化   ・工程能力表   ・混載運搬
 
サ行
・サイクルタイム   ・作業順序   ・作業標準   ・自働化   ・ジャストインタイム   ・順序表   ・順序引き取り   ・少人化   ・省人化   ・省力化   ・生産管理板   ・生産リードタイム   ・製造技術   ・外段取り
 
タ行
・多回運搬   ・タクトタイム   ・多工程持ち   ・多台持ち   ・多能工化   ・段取り替え(時間)   ・定位置停止方式   ・定員制   ・定時不定量運搬   ・定量不定時運搬   ・トヨタ生産方式
 
ナ行
・能率(/ 真の能率,/ 見かけの能率,/ 全体の効率と個々の能率)   ・乗り継ぎ運搬   
 
ハ行
・ハイヤー方式   ・離れ小島   ・はみ出し品   ・標準作業   ・作業標準組合せ票   ・標準作業票   ・平準化   ・ペースメーカー   ・ポカヨケ
 
マ行
・水すまし   ・ムダ(/ つくりすぎのムダ,/ 手持ちのムダ,/ 運搬のムダ,/ 加工のムダ,/ 在庫のムダ,/ 動作のムダ,/ 不良品のムダ,/ 手直しのムダ)   ・ムラ   ・ムリ   ・目で見る管理
 
ヤ行
・ヨーイ・ドン方式
 
数字
・1個流し   ・4S(5S)(/ 整理,/ 整頓,/ 清掃,/ 清掃)   ・5回のなぜ
 
アルファベット
 
・AB制御   ・QC工程表

ア行

・後⼯程引き取り Pull System(of Production)
ジャストインタイムに⽣産をするための3つの基本原則の1つです。
後⼯程が、必要なものを、必要なときに、必要なだけ、前⼯程から引き取る手法であり、前⼯程は引き取られた分だけ⽣産するします。
これは、スーパーマーケットやコンビニエンスストアの仕入れの仕組みと似たような仕組みで、顧客が必要としている量に応じて生産するので、作りすぎのムダが生じません。
その手順としては、
 ① 顧客の要求に基づいて、生産計画を立てる。
 ② 最終工程に、生産計画を指示する。
 ③ 最終工程は、必要な分だけ前工程より引取り生産する。
 ④ 前工程は、引き取られた分を補充する。
 ⑤ 後工程から前工程に順に生産指示が進行していく。
この前工程・後工程間のやり取りの際に、作業指示・管理の道具として使用されるのが「かんばん」です。

・後補充(⽣産) Fill-Up System(of Production)
前⼯程は、その⼯程の完成品在庫を最小限もち、後⼯程に引き取られた分だけ種類毎に造って補充する⽅法をいいます。

・アンドン Andon
工程を起きた異常を監督者に知らせてアクションを促すために、異常内容を一目で判断できるようにした電光表示盤で、現場に隠れた問題やムダを表面化する、つまり明るく照らし出すことから、アンドンと呼ばれます。
現場の監督者は、常に作業状況を把握していかなければならないこと、また問題が発生した場合に速やかに解決できるような管理が必要です。
アンドンは、大きく4種類に分類されます。
 ① 呼び出しアンドン:部品を請求する。
 ② 異常アンドン:組み立ての異常を知らせる。
 ③ 稼働アンドン:機械の稼働状況を示す。
 ④ 進度アンドン:作業進度の確認。

・内段取り On-Line Set-Up
段取り替え作業は、内段取りと外段取りとに分類されます。内段取り作業は、ラインや機械設備を停止しなければ出来ない、型、刃具や治具類の交換作業をいいます。また、その作業に費やす時間を「内段取り時間」といいます。

カ行

・改善 Kaizen
4M(⼈(労⼒)、物(材料使⽤量及び材料・製品の在庫)、設備、および⽣産の仕組み)等に関するムダを発見し、、知恵を出しできる限り費⽤をかけずに、迅速にムダを一つづつ排除していく⼀連の活動をいいます。人手作業に対する改善では、設備改善よりも作業改善を優先して行わう必要があります。
改善は、全従業員がそれぞれの立場で取り組む必要があります。

・可動率 Operational Availability
「設備を動かしたいときに正常な状態で動いてくれる度合をいい、設備の生産保全度・作業効率を意味します。故障ゼロの指標の一つになります。

  可動率 = (停止故障無しの実稼働時間)/(顧客要求に基づく稼働時間)× 100%

稼働率が、実作業におけるムダ取りの指標になるのに対して、可動率はムダ取りの実績評価になります。ジャストインタイムによる流れ生産を実現するためには、故障ゼロになる可動率100%が理想になります。
なお、稼働率と区別するために、可動率を「べきどうりつ」と呼ぶことがあります。

・稼働率 Rate of Operation
トヨタ生産方式では、「作業 = 動き + 働き」とされ、動き = ムダ、働き = 付加価値と定義されます。後者の働きが改革のキーワードとなります。
カドウ率については、上記のように稼動率と稼働率の2通りの解釈があります。何れも通常、生産にかかる所要時間を単位として得られます。

  稼動率 = (稼動時間)/(操業時間)× 100%

ただ、稼動時間の内訳は、稼働時間とムダ時間の和になります。そのため、能率向上を稼働率を根拠に改善を進めると、単に動かす時間だけが増える残業などによる労働強化や、機械設備の自働化は、生産性は向上しますが、顧客不在のものづくりになる危険があり、かえってムダを増やし、コスト高も招きかねません。
一方、トヨタ生産方式で生産指標と考えるのは、稼働率になります。稼働率は作業における付加価値の比率に着目します。正味加工度、あるいは働き度とも言いかえられますが、次式で定義されます。

  稼働率 = (稼働時間)/(稼動時間)× 100%

  稼働時間 = サイクルタイム × 顧客要求数

稼働率は、稼働時間 = 稼動時間 に近づくため、ムダの要素を究極まで減らすムダ取りを進めて行く必要があります。

・かんばん Kanban
ジャストインタイムを実現して維持するための道具として位置付けられています。トヨタ生産方式の機能の一つになります。
かんばんは、品物の品目を表示する看板的機能と生産情報(作業指示)を示す伝票的機能とを合わせも落ちます。かんばんは、後工程が、「必要なものを、必要なときに、必要なだけ」前工程から引き取る「引張り生産」を原則とします。「顧客の要求」をもとにした生産計画を立案して、まず最終工程が作業します。この最終工程で生産した分を、「引取り情報」として、かんばんで伝達します(引取りかんばん)。前工程は受け取ったかんばんの情報に基づいて後工程に引き取られた分だけ、補充生産します(仕掛けかんばん)。
つまり、前工程は後工程の作業進度に基づいて生産するため、常に”生産計画 = 実績情報” であり、「情報の流れ」と実際の「ものの流れ」が一致することになります。
この各工程間およびサプライヤとの情報交換の道具が「かんばん」であり、必ず製品に付けられた移動します。トヨタ生産方式は、「かんばん無しでは物を作れない・運べない」仕組みです。品目・数量・作業指示などが明記されて、物の流れに沿って存在します。また、「かんばんのある所に“”仕掛かり”あり。」というように、かんばんの枚数は仕掛かり量であり、生産状況を表し、現場の改革を進める手がかりになり、「目で見る管理」として、有効なツールです。
そして、かんばん1枚に示すロット数、およびかんばんの枚数を最小限にとどめて、かんばんの発行・回収を細分化することが、計画変更に細かく対応して、トヨタ生産方式を維持する重要な手段です。
かんばんを適用するためのルールは、以下の6つにまとめられます。
 ① 後工程引取り
   後工程が必要となったものを、前工程に引取りに行く。→ 引取りかんばん
 ② 引取り分前工程生産
   後工程が引き取った分だけ生産する。→ 仕掛けかんばん
 ③ 100%良品
   工程内で品質を作り込む。不良を出さない仕組みを導入する。→ 品質保証
 ④ 生産の標準化
   生産のばらつきを無くして、安定した生産を維持するために、徹底して製品種別と生産量との平均化を図る。→ 平準化生産
 ⑤ 現物表示
   かんばんは必ず現物と一緒に動かす。→ 目で見る管理
 ⑥ 改革ニーズ発見の道具
   かんばんの枚数を減らすことにより、欠品やラインストップが品雑に起こり、問題の顕在化が図られて、真因の改革につなげることができる。

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