バベル
右も左もうだる熱が迫り来る
避けられない
逃げられない
ここにいてもあそこにいても
避けられない
逃げられない
隣を走りゆく車
照り返すコンクリート
熱波の中列になり歩き行く学生
汗にまみれて
逃げられない
避けられない
木陰の涼しさに神の手を見る
土のかすかな照り返し
たかだか何千枚の緑の葉のカーテン
そのたかだか数千枚の葉ごときが
オアシスを作る
熱波とオアシス
私が足を踏み出した
この通りにはオアシスはない
ここはバベルかもしれない
知識と技術で自然を大いに凌駕した
人間の驕りへの
静かなる応報
あの何千枚の葉を
あの木陰を
増やせたなら