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私は女ではなかった 〜ミルクレープの巻

私は齡三十も七
でも女ではなかったように思う

かすかに私の淵に触れる友といる時
かすかに男に抱かれる時
人生の微かなタイミングでこそ
その片鱗はあっても

幼い頃から
見知らぬ言葉の中
強がり
求められるものを与えるのに
強がり
自分に泣くことを禁じて
七歳
強く生きよと
女の子の私は鍵をかけた箱の奥へ
女の私は呪われたものに

三十年
一昔
呪いも溶ける頃

ケーキ嫌いの私が
無性にミルクレープを食べたくなる
その自分らしからぬ姿に
私は女ではない何かの
単なる具有だったのだと気づく


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