文学トリマー【毎週ショートショートnote】
「ホノカってさあ、言葉が綺麗だよね」
「そう?」
もの書きを目指している私からしたら、読書会で出会ったユリに言われるのは嬉しい。でも嬉しいと同時に、内心これで正しいのだろうかと悩む。
「ホノカはもの書いて生きたいんだもんね。すごいなあ。たくさん読んでるもんね」
「うん、そうだね」
私は綺麗な言葉の本が好きで、歌詞が好きで、詩が好きで、気付けば書く人間になりたいと思っていた。
なのにいざ言葉が綺麗と言われて不安になるのは、私の言葉が所詮読んできた綺麗な言葉たちのコラージュに過ぎないかもしれないという不安を浮き立たせるからだ。だって、あの作家やあの作詞家やあの詩人ほど、面白くない。自分でも綺麗な言葉を作ると思う。でも、私の言葉は切り取りで、加工で、そうして綺麗なパーツをくっつけるだけだ。
でも。
「ねえ、スカイダイビング行かない?」
「え、何急に?ホノカらしくない」
「うん」
そう、私らしくない。
でも、もしかしたら、もしかしたら、私らしくないところに、切り取るまでもない未加工の言葉が眠っているのかもしれない。