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「恋人の、足の爪を・・・」昔の「スクリーン」で読んだ、ドミニク・サンダのエピソード。
コリン・ファースが好きだという知人に、「コリン・ファースと結婚したい?」と聞いてみたら、「絶対に嫌だ」という答えが返ってきた。
「二次元の中で見るならいいけど、現実にはつきあいたくない」
とのことだった。
こういうことは、よくあるだろう。
二次元の中の人間と、三次元で現実につきあう人間に対して同じことを求めるかと言ったら、やはり、ちょっと違うのだ。
私は、現実には愛嬌のある人が好きだが、俳優やモデルの場合、いつもにこにこと笑っている人よりも、フラットな表情をしていて落ち着いた雰囲気の人を好きになる傾向がある。
見ているだけで、こちらまでなんとなく落ち着くからだ。
で、思い出すのが、ドミニク・サンダだ。
私は彼女の古い写真集を持っているのだが、中を見ても、大口をあけて笑っているものが見当たらない。
笑顔のものがあっても、口角をちょっとあげているだけ。
彼女の少女時代の写真もあるのだが、「1964年 ミス・アルカシオンにえらばれて・・・」というキャプションがついている。
どうやら、バカンス先で行われた美人コンテストで優勝したときの写真らしい。
ビキニ姿で(といっても、少女らしいおとなしめのもの)、そして、右手を頭の後ろにやって、いわゆる「セクシーポーズ」をしているのだけど、顔が、まったく笑っていない。
笑うどころか、唇の右上のあたりがちょっとひきつったように上にあがっているだけ。
ドミニク・サンダとしては、笑ったつもりだったのだろうか?
よくわからないが、彼女は、なんだかとてもめんどくさそうに、「セクシーポーズ」をしている。
私にとっては、にこにこ笑ってポーズをとる少女より、ドミニク・サンダのほうがセクシーに見えてしまう。
この写真集の最後にはドミニク・サンダのインタビューが収録されているのだが、彼女は、実によくしゃべる。
エジプトの素晴らしさ、そして、化粧や香料でできたものが嫌いだということ。
それから、「高級品はすべて、新品のときは見られたものじゃない。美しくエレガントになるのは、着古されたときよ。」と言って、イギリスの貴族が自分の新しい服を庭師に着せるというエピソードを披露する。
そして、「でも、そうするには、庭師を雇わなくちゃいけないし、貴族で大きな庭を持ってなくちゃね(笑)」などとつけくわえている。
ずっと前、古書店で、ドミニク・サンダが表紙のスクリーンを見かけて手にとったことがある。
うしろのほうに乗っている、「スタア」のこぼれ話を紹介するようなページに、彼女のエピソードが載っていたのを、思い出す。
それは、ドミニク・サンダが、「恋人の足の爪を小さなカプセルにいれてそれをイヤリングにしている」、というものだった。
たしか、この記事は、「愛なんだなァ」という言葉でしめくくられていた記憶がある。
なんだかよくわからないが、この、ちょっとエキセントリックなところが、彼女らしいと思った。
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