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ついに、この日を迎えてしまった。

というと少し大袈裟かもしれない。
そのくらい待ちわびた一日だった。

2021年12月18日

唄人羽はデビュー22周年を迎えたこの日に
Gate's7でのワンマンライブを行った。

バタバタと会場に到着し、友達と2年ぶりの再会を果たし、少し浮かれ気分で会場入りしたら、会場内では「蝶のように」が流れていた。あ!信ちゃんが予告してたやつだ!と慌てて席に着き呼吸を整えていると聴こえてきたのは、何となく聞いたことがあるけど聞き慣れないメロディ。リズムが印象的だったその曲は紛れもなく「Beautiful mind」だった。「蝶のように」だけだと思っていたのでビックリしたのと、アレンジや歌詞が少し違うだけでも新曲のようで聴き入ってしまった。続いて流れてきた「愛情ロケット」は歌い出しから二人の声が聴こえて「ダブルボーカル?!」と思わず友達と顔を見合せた。歌詞も随分と違っていて信ちゃんがよく「遺言のように書いた」と言っていた意味が少しわかった気がした。2年ぶりのライブだという友達は「もうコレだけでも今日来た意味があった」と既にウルウルしていた。とにかく、はじまる前から情報量が多すぎて頭がパンクしそうだったので、ちゃんとした精神状態でもう一度しっかり聴きたい。

音楽がフェードアウトしていき会場の空気も張り詰めた。緊張と高揚が混ざったこの空気感、私は嫌いじゃない。まずはおなじみのサポートメンバーが登場し、音を作る。パーカッションのリズムですぐに一曲目がわかった。「GO TO MUSIC 3」のラスト、そして2年前の20周年Zeppのラストを飾った「エンブレム」だ。二人の登場を今か今かと待つようにリズムが刻まれる。バイオリンの音色にのせて、この2年間の様々なことが走馬灯のように脳裏を駆け巡った。前回はもちろん、Zeppのあの日から今に繋がり、この2年間が一瞬にして縮まった気がした。真っ直ぐに響く てっちゃんの声、二人の力強い声に圧倒され、またあの日みたいにタオルを掲げて、みんなで熱唱できることを想像しながらステージを見つめていた。

感動に浸る間もなく「愛情ロケット」のイントロが流れてくる。すっかり定着した信ちゃんのエレキは今日も絶好調だ。「流星ライダー」のイントロでしっかりワクワクさせてもらい、「BORDER」から「パレード」の流れで完全に心を鷲掴みにされた。「Message」のアレはいつもドキドキするし、「トロフィー」のアレは構えすぎて思わず笑ってしまった。

相変わらずトークでは痩せる痩せるの話になりがちで、メンバー紹介のときにいきなり一問一答を入れたのも突然すぎて まぁまぁ謎だったし、無茶ぶりの「クリスマスイブ」に戸惑いながらもモノマネまで入れ込んでしまう脱線ぶりはいつも通りで、二人の掛け合いに会場内も大きな笑い声に包まれた。二人が笑って、お客さんもつられて笑って、心がちょっと近付いて、あたたかな気持ちになって。そうそう、この温度がある感じ。当たり前だと思っていたこの光景も随分久しぶりな気がして胸が熱くなった。

二人には今どんな景色が見えてるんだろう。

そんなことを思いながら聴いた「虹空」では涙が溢れた。ようやくここまで辿り着いたような、ようやくここから新たに始められるような、そんな可能性を感じたライブだった。生の音だけでなく、本来の唄人羽ライブの雰囲気まで存分に味わえた。

過去3回のワンマンライブは、ことごとく緊急事態宣言中での開催だったが、この日のライブは唄人羽としては初めて緊急事態宣言などの制限がない中でのワンマンライブだった。換気休憩はなく、本編15曲アンコール含め全21曲、しっかりと聴いた2時間20分だった(もちろん会場での感染症予防対策は当たり前のようにされていた)。曲が終わるごとにあんなに大きな拍手が聞こえたのもトーク中の笑い声も本当に久しぶりで、それがとても嬉しかった。

遡れば2年前、Zepp Fukuokaで20周年ライブを成功させた二人は春から全国ツアーをする予定だった。そして、そのツアー最終日の公演は、このGate's7の予定だった。しかし世の中は一変し、全国ツアーどころかライブをすることさえも困難になった。そんな中でも配信ライブや人数や時間を制限しての有観客ライブなど、二人は出来る限りのことを出来る範囲の中でコツコツとやってくれた。あまりに変わりすぎた日常を絶望せずにここまでこれたのも二人のおかげだと言えるくらい、たくさんのライブに救われたのは私だけじゃないはず。「大変だったね」なんて言葉じゃ片付けられないほど大変だっただろうし、頭を悩ませることもあったと思う。対策をしてルールを守ってじっと耐えながらも必死にもがいて、でも今まで以上にお互い心を寄せあった2年間だったと思う。

ライブの最後、二人は来年の春に全国へ行くことを発表した。北海道、東京、大阪。まだまだ全国各地までは行けずとも、この流れは2年前と同じだ。今日のライブを「GO TO MUSIC」としなかったのは、きっとそのためなんだろうと思った。終わりの始まり、そして仕切り直し。もちろん先のことはまだわからないけど、時間と気持ちのタイミングが合えば是非とも、その目で その耳で その心で、唄人羽の音楽を、そしてライブを感じてほしい。23年目の第一歩が、長い長いトンネルの向こうのいい未来の始まりだと今は信じたい。

アンコールでは現在制作中の新曲を歌ってくれた。一つの物語が曲となり一枚のアルバムとなる唄人羽としても新たな試みだ。まだ世に出ていない新曲たちをいち早くライブでやってくれるのも二人らしいなと思ったし、バンドとして聴いたのは今回が初めてだったので新鮮だった。ギターやピアノ、パーカッションの力強い音にバイオリンやチェロの凛とした音が物語の世界を広げた。新曲発表ライブでも歌わなかった「狼煙」はエネルギッシュで疾走感があり、勢いのある一曲だった。一曲一曲、曲の雰囲気も違って、それぞれに新たな展開があって、ここからどんなクライマックスに繋がるんだろうとワクワクした。

人の気持ちになってバカにされたって
今生きている 自分を褒める
「気がつけば」

最後の最後、会場限定アンコールとして二人きりで歌ったのは「気がつけば」だった。昨年のデビュー記念日に配信で聴いた「気がつけば」も気持ちが全面に出ていて物凄く伝わるものがあったけれど、生で聴く「気がつけば」は感情が剥き出しになるような歌い方で、それを全身で受け止めたら心が痺れてヒリヒリした。語りかけるような歌い出しからは想像もできないほど全身全霊で歌う姿に胸を打たれた。この曲は、いつ聴いても真っ直ぐに貫いてくる。そして、いつ聴いても別格だ。

22周年。

本当に、すごいことだと思う。なかなか思うようにいかないこともあっただろうけど、どんなに険しい道でも二人ならきっと新たな道を切り開いてくれるだろう。二人でつくる物語を、二人だからこその景色を、これからもたくさん見たい。春のツアーもアルバムも本当に楽しみだし、来年こそはたくさんライブを見たい!そしてなにより、来年も同じように笑って元気な姿でデビュー記念日を迎えられますように。唄人羽にとって光ある一年でありますように。その灯火が消えないように、その背中を見失わないように、これからもずっと応援していきたい。

2021.12.18 Gate's7
「Dear Coronavirus」

エンブレム
愛情ロケット
流星ライダー
夕暮れ坂
BORDER
パレード
アルコール
愛の言葉
Message
真夜中のルーキー
プラグ
トロフィー
三日月とピアス
カラス星
虹空
【EN】
始まりの森
少年と狼
小さな星の小さな旅人(アカペラ)★
温もりの日々★
狼煙★
気がつけば★
(★は会場限定アンコール)

ライブでも発表された新曲「エンブレム」が各配信サイトで絶賛配信中です。23年目の唄人羽が届けてくれた力強いメッセージ、たくさんの人に届きますように。

ダイジェスト映像も公開中だそう。
寄ってらっしゃい見てらっしゃい。

全てが終わったあとに流れてきたのは「虹空」だった。ライブ終わりで完全に抜け殻状態だった私たちは「最後の最後まで、、なんだよもぉ〜」と涙目で笑いあった。ライブ終演後には、サイン会なるものがあって、厚かましくもカレンダーにサインしてもらおうってことになって、何十回と経験してることなのに久しぶりで(そしてライブ直後だから余計に)緊張して、信ちゃんの開口一番「ライブどうやったとや〜」から何話したかあまり覚えてなくて(笑)、一番大事な「おめでとう」を言わずに「メリークリスマス良いお年を〜」と言ってそそくさと退散してしまったことをひたすら後悔している。

22周年おめでとう
心からありがとう

眩しいくらいに輝いていて
今年一番カッコよかったよ

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