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少年と狼

唄人羽が新しいアルバムを出す。

タイトルは「少年と狼」

片目のない少年と片足のない狼が出会い
互いを認め合い寄り添って旅をするストーリー
一曲一曲 物語を紡ぎ全8曲で完結する

「ベストアルバムを出すと、どうしても一度 区切られてしまう」と本人も話していたように、20周年というかなり大きな節目を迎えた唄人羽は、前作「六弦大」を出したあと、次のアルバムをどうしようかという話になったとき、信ちゃんがこの物語を思い付いたそうだ。

「アルバム一枚を通して物語が完結するコンセプトアルバムを作ろうと思ってる」

2年前くらいだったか、「新曲発表会」と題して開催されたライブでそう言った彼らは出来たてホヤホヤの3曲を聴かせてくれた。期待を遥かに越えた世界観に「これは、とんでもないアルバムが出来るぞ」とワクワクしたことを今でもハッキリと覚えている。

このアルバム制作を提案した信ちゃんの頭の中には既にストーリーも結末も(コード進行さえも!)完成されていたそうで、それを8曲という曲にしていく中で、決められたコード進行からメロディーを作るのも、限られた文字数の中で言葉を探してストーリーにしていくのも、かなり大変だったらしい。

ボーカルに関しても「感情を込めたり抑揚をつけたりすることよりも、とにかく歌詞を正確に伝えること、物語の世界をしっかり伝えることを大事にしてうたった」と、てっちゃんは話していて、歌い方ひとつとっても新たな挑戦だったのではないかと思う。

狼の目線で描かれた一曲目、少年の目線で描かれた二曲目、共に過ごした日々を描いた三曲目、そしてその後、物語は加速してゆく。どの曲をとっても、その言葉選びのセンスは、さすがだなと思うし、巧みな情景描写で物語に奥行きをもたせるのは唄人羽の魅力でもある。

「CDが売れないと言われる時代だけど、なんとかしてCDを手に取ってもらえるように少しでも価値あるものにしたかった」

信ちゃんがそう言っていたように、今までにない斬新なアルバムだろう。これは是非ともCDの歌詞カードを見ながら、言葉と歌を脳内に同時に取り込んでこの「少年と狼」の世界を見てほしいと思う。

25周年を迎える前に、こんな素敵なアルバムを聴けることがファンとして本当に嬉しい。

新たなステージへ一歩踏み出した二人の渾身の一枚を、一人でも多くの人に手に取って聴いてもらいたい。

「少年と狼」
1.ネモフィラの森
2.悪魔の少年
3.ぬくもりの日々
4.狼煙
5.遠吠え
6.最期の銃声
7.眼差し
8.銀翼の狼

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