No.21 アレルギー性鼻炎は起床困難や日中の眠気と関連している
今朝、外を歩いている時に目の痒さを覚え、明日から洗濯物は部屋干ししようと考えた木花です、こんばんは。
花粉症シーズンともなれば、睡眠の患者さんが鼻炎の症状で困っていないかチェックすることも重要。スギ花粉症の季節には、睡眠の外来でせっせとアレルギー性鼻炎の薬を処方しています
(もちろん、睡眠を診る医師でも私ほどは鼻炎の治療を手がけない人もいるはずです、このあたりのスタンスは個人差が大きい部分です)。
通院している患者さんから「最近眠気が強い」と言われれば「鼻づまりや鼻水はないですか」と鼻炎の有無について尋ね、「最近よく夜中に目が覚める」と言われた時にも同じく鼻炎について尋ね、「CPAPをすぐ外してしまう」と言われれやはり鼻炎の症状をチェックし…。
要するに、鼻炎は睡眠の症状が悪化することにつながりやすい、実によくある原因なのです。
というわけで今回は、アレルギー性鼻炎と睡眠の関連についてのシステマティックレビューとメタ解析をおこなった論文をみてみましょう。
The association between allergic rhinitis and sleep: A systematic review and meta-analysis of observational studies
https://doi.org/10.1371/journal.pone.0228533
この研究では、2019年8月より前に出版されたアレルギー性鼻炎と睡眠に関連する論文27本をまとめています。一連のプロセスはGRADEという手法を用いて行われました。
集まった研究は研究デザインも対象者の年代も睡眠の評価手法も多種多様でしたが、まとめたところ以下のような結果となりました。
アレルギー性鼻炎がある群と対照群の間で、睡眠時間の差はなかった。
アレルギー性鼻炎のある患者は自覚的な睡眠の質が悪く、終夜睡眠ポリグラフによる客観的な測定でも睡眠効率が悪く、不眠症や夜尿、閉塞性睡眠時無呼吸など睡眠の問題のリスクも高かった。
メタ解析では、アレルギー性鼻炎は起床困難や日中の眠気、朝の頭痛、睡眠薬使用などの機能障害と関連していた。
ただ、Conclusionのところに、エビデンスのレベルは非常に低いので(横断研究が多かったですしね…)このレビューの結果を用いる際には注意が必要であると記してあったことも付記しておきます。
まとめ
そんなわけでアレルギー性鼻炎は睡眠の問題とつながりやすいので、私にできる範囲で治療することを心掛けています。
鼻アレルギー診療ガイドラインも、最新版の購入とチェックは欠かしません。
睡眠の問題を抱えている患者さんだと、ちょっとでも眠気のリスクを上げたくない場合は、鼻炎の治療に鼻噴霧用ステロイドを選ぶことが私は多いです。
とは言え最近の抗ヒスタミン薬は、きちんと選べば副作用として眠気が出にくいものもあります。その話はまた明日にでも。
参考文献
Liu J, Zhang X, Zhao Y, Wang Y. The association between allergic rhinitis and sleep: A systematic review and meta-analysis of observational studies. Bhatt GC, editor. PLoS ONE. 2020 Feb 13;15(2):e0228533.