新規事業開発でコンサルタントを活用すべきか?
最近は、ある意味新規事業ブームだと感じる。新規事業に関する書籍は多数出版されイノベーティブは新規事業を造り出そう!という掛け声もあちこちから聞こえてくる。まさにブームだ。
こういうブームは基本的には気を付ける必要がある。新規事業を立ち上げるのは容易ではない。既存事業で稼ぎ続けられるのなら、正直既存事業を懸命に続けるほうがよっぽど効率的だろう。
とはいえ、企業はブームに乗っかるので、現在のところ新規事業熱は高い状態にある。その結果、新規事業担当が生まれ、そこに仕事が生まれる。
このとき注意すべき点がある。それは多くの企業にとって新規事業創出は不慣れであるという点だ。もちろん慣れている企業もあるだろうし、過去、事業創出を行い大成功した。という企業もあるだろう。
ところが一般的な企業については、新規事業といっても単に既存事業の延長線上だったりするのは珍しくない。例えばBtoBであれば、既存のお客さんから「おたくの技術をつかってこういうのできませんか?」と言われて、やってみた。それが、たまたま当たった。というケースだ。もちろんこれは素晴らしいケースであるのは間違いないのだが、「お客さんに言われたから」、ではなく自らの手で市場を造り出した新規事業と比べればレベル感が違うだろう。
多くの新規事業担当者が抱える悩みとして、自分たちの上司が新規事業をわかっていない。というものがあげられる。
そうした場合によくありがちなのが、「初年度から黒字化」とか「(M&Aなしで)5年で100億円の売り上げを目指せ」といった非現実的な目標である。新規事業担当者ももちろん、赤字は出したくないし、その願いを叶えたい。
しかし、このような注文は万年、営業利益が赤字の既存事業を来年には10%以上に改善しろ!と言っているに等しいくらいに難しい(つまり構造的な赤字が続いているにもかかわらず一気に改変しろ。と言っているに等しい)。
多分、5年で100億の売り上げを作れるレベルの人間は、日本でいうところのスーパースター起業家レベルである。
このような非現実的な目標を告げられた時に、担当者はどう言うだろうか?「社長!それは無理というものが、、、」とは、社員の立場からは言いづらい。実に言いづらい。言ってしまおうものなら、「初めからあきらめるな!やれ!」と言われるのが関の山ではなかろうか。
さて、ここで頼りになるのが新規事業コンサルタントだ。ある程度実績が見えているコンサルタントが支援してくれている場合は、「新規事業の実績が豊富なコンサルタントの助言によると、いきなり大きく出るのは失敗の可能性を大きく高めます。さらにそのような方法で成功した企業は1社もないとの話です。」といえば説得力が増す。
仮に、新規事業担当者としてはよく理解している話であっても、「実績豊富なコンサルタントもそういってます。」と付け加えることで、幹部は納得してくれる可能性が非常に高くなるのだ。
もちろん、場合によっては、「そんなコンサルタントやめちまえ!」と言われるかもしれない。それでコンサルタントとの契約を解消することもあるだろう。コンサルタントの方には申し訳ないが、怒りの矛先になってもらうという役目をはたしてもらったわけだ。そして、また新たなコンサルタントと契約する。2度目のコンサルタントも1度目と同じことを言ってくれれば社長も「ん?俺のほうが間違っていたかも」と気づいてくれる可能性も出てくる。
以上のように、新規事業経験の浅い企業にとっては、ノウハウを知るという意味に加え、社内からの攻撃にともに戦ってくれる仲間としてコンサルタントを活用するのは非常に意味のあることである。
逆に言うと、単なる新規事業立ち上げノウハウをレクチャーします。的な立ち位置のコンサルはあまり役に立たないだろう(コンサルとしてはこれほど楽な商売はないだろうが、、)。難しいお願いではあるが、ともに切磋琢磨してくれる伴奏型のコンサルを探すのが良い。単純に皆があこがれるようなネームバリューのコンサルをあまり吟味せずに使うと、巨額のお金を吸い取られ、ロジックで固められたピカピカのパワポだけが残った、という笑うに笑えない話もあるようだ。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?