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新規事業における進捗報告の難しさ。

事業を行うにあたって、初期段階では資料作りは無駄。
新規事業開発に関する有名な書籍である「新規事業の実践論」を読まれた方でしたらそのように思う方も多いはずです。

確かにその通りではあるのですが、それでも多くの企業において、中間報告を行わず新規事業を進めていくことは困難かと思います。

したがって、仮説検証をすすめながらも説明用の資料を作成していくことになります。

ありがちなのは、仮説検証が不十分であるにもかかわらず報告の期日に突入し、かなり不完全な状況で幹部に報告しなければならないというシーンです。

不完全な状況での説明は穴だらけなので、さまざまな突込みが入ることになりますが、新規事業担当者は少なくともその突込みに的確にこたえられる準備が必要になります。

時々、「それは、まだ調べ始めたばかりだからわからない。」とか、「やってみないとわからない。」とか言い出す担当者がいます。さらに「せっかく良い新規事業案なのに、相手は理解しようとしない。」と言い始めるケースすら見受けられます。

確かに、聞き手があまりに勉強せずして一方的に否定するケースもあるのですが、通常は新規事業担当者の甘えであるケースのほうが圧倒位的に多いのです。

このような状況は、既存事業で百戦錬磨であったレベルの人ですら陥ります。それほどまでに新規事業というのは難易度が高いのです。

進捗報告会では、理想的には「まだ調べ切れていない」という状況は避けたいところです。仮に、新規事業のメンバーでほかのメンバーは調べ切っているのに、自分は調べ切れていないというのであれば、単純に自分の仕事が遅いだけですので、メンバーのやり方を参考にするなど、高速化の努力をしましょう。

ただ、調査というのは、調べようと思えば永遠に調べ続けることができます。したがって、中間報告では事前に報告のフォーマット(=目次を決める)を決めておくことを強くお勧めします

NTTデータは新規事業支援サービスを行っていますが、彼らも初めは役員と相談し、どのような形式で報告すればよいかをすり合わせたと言っています。その形式をもとに、新規事業支援サービスを行っているのです。

それでも質問に対して、現段階ではファクトに基づく回答ができない場合もあるでしょう。その時は、少なくとも「現時点では、○○という情報までは得ております。今後、そのご質問に対しては必ずお答致します。」などと返答しておくのが望ましいです。

また、「やってみないとわからない。」という考え方に対しては、まったくもってその通りではあるのです。確かに新規事業の成功に対して明確な答えを持っている人は存在しないでしょう。

しかし、なんでもかんでもできるほど企業は無限にお金を持っているわけではありません。したがって、事前にやることを絞る必要があるのです。

ですから、少なくとも
「今、どこまでが、わかっているのか?」
一方、
「何がわからないのか?」
を明確に説明する必要があります。

そして、
「そのわからないことをわかるようにするには何が必要なのか」
「わかるためには、どれぐらいの投資を要するのか」
を説明できるようにしておきましょう。

さらに重要なのは、
わからないことがわかったときに、どうポジティブに事業が進むのか?」
または
「ネガティブな結果だった場合どうなるのか?」
を頭に入れておく必要があります。

察しの良い人でしたら気づかれたかもしれませんが、
そんなわからないことなんて無数にあるのに、全部検証していたらいくら時間があっても足りない。という問題に直面します。

この対応策としては、考えられうる問題をすべて洗い出し、新規事業を進めるうえで大きな影響を与える問題に対して優先順位付けをしていくことになります。

この優先順位付けは、どの業界の新規事業に取り組むか、どのようなサービスモデルかによって異なってきますが、大体共通点は同じですので、「新規事業の実践論」などの書籍を参考に要点をリスト化しておくのがよいです。個人的によくまとまっているな、と思っている電子書籍は、「新規事業のセオリー」です。

こういった先人の知見を活用しながら、場数を踏んでいくのが重要となります。

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