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アートが題材の映画3本に観る、芸術の魅力

今は映画をインターネットで、Amazon Prime VideoやNetflixというサブスクリプションから手軽に観ることができる。その中には人気作品も多い中、劇場ならミニシアターや公開すらされないような小規模な映画も多い。
便利な時代ではあるが、その中から、私が印象に残っている「アート」を題材にした映画を取り上げてみたい。


岸辺露伴 ルーヴルへ行く

2023年公開、日本映画。
人の記憶を本のようにして読む特殊能力を持つ漫画家・岸辺露伴が、この世で最も「邪悪な絵」と言われる「黒い絵」を求めてルーブル美術館に向かい、そこで出会う奇妙な事件を描く。
「岸辺露伴」とは、荒木飛呂彦氏が長年描いているマンガ『ジョジョの奇妙な冒険』に登場する人物であり、そのスピンオフ作品として2011年に出版された同名マンガの映画化となる。

私は『ジョジョ』のファンであり、そのマンガも当時購入して読んでいたが、その時は正直、物語に出てきた「黒い絵」や大元の人物などの「そもそもなぜ?」の部分が見えなくてイマイチ分からない印象だったが、映画ではそれが描かれていて、今になって物語の全貌を知ることができた。
原作のファンでも楽しめる、むしろ読んだ人なら映画も観るべきというものだった。

世界で一番ゴッホを描いた男

2016年公開、中国映画。
中国で大量の複製画を制作する街「大芬(ダーフェン)」で、20年間ゴッホの複製画を描き続ける男を追ったドキュメンタリー映画。

その街で、貧しい生活を送りながら家族と共に工房を営む男は、海外の土産物店などを相手に毎日大量のゴッホを描いて、これまでに10万点以上を製作したという。
そんな男には一つの夢があった「一度、本物のゴッホを観たい」オランダ・アムステルダムにあるゴッホ美術館に行くことだ。でも貧しい家庭でその夢は遠い。

彼らが送る「貧困」の生活、絵はあくまで生活する手段に過ぎない、それでも絵は細部にわたって再現にこだわる「職人」としての仕事、その中でゴッホという「芸術」に触れて何を感じるか。そんな様子が淡々と描かれる。
だがそもそも、ゴッホも生前は絵が売れなくて貧しかったという。いわば「貧困」「職人」「芸術」はゴッホと男の双方に共通することなのかもしれない。

画家と泥棒

2020年公開、ノルウェー映画。
ある画家の個展で絵画が盗まれた。犯人はすぐ逮捕されたが、被害者である画家は男の出所後に「絵のモデルになって欲しい」と依頼する。そこから始まる、画家と犯人の奇妙な友情を描いている。
よくできた物語のようだが、これは実際に起きたもので、当事者本人を追求したドキュメンタリー映画。

私は昨年、この映画をAmazon Prime Videoで観たが、現在はプライム対象ではなくなっていた。でも有料のサブスクリプション配信サイト『MadeGood.films』で観ることができる(無料トライアル期間あり)。

そこには詳しい解説も書かれていて、監督は「犯罪と芸術という正反対の性質が混在する絵画泥棒に興味が掻き立てられる。そこで盗難事件を調べていたら二人にたどり着いた」とのこと。

映画の中で、男は事件後「盗んだ絵をどうしたのか覚えていない」という、薬物中毒で本当に覚えていないらしい。でもなぜ盗んだのか?と聞くと「絵が綺麗だったから」。純粋に芸術が好きなところに興味が沸いたのかもしれない。
そんな二人の会話や過去の映像と共に、お互いが今までにどんな道を進んできて、そしてどこに進むかが描かれる。

「芸術」というものがきっかけで深い繋がりを持った2人、一つ大きな接点があれば、人は分かり合えるのだろうか、そんなことを考える。

3本に共通する「芸術の魅力」

『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』『世界で一番ゴッホを描いた男』『画家と泥棒』の3本は、芸術を題材にしていることと「絵に惹かれた」ことで始まる物語だった。
芸術の観て味わうだけでなく、芸術をテーマにした作品で魅力を味わうのも、一つの楽しみ方と思った次第。


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