大阪中之島美術館「没後30年 木下佳通代」
大阪中之島美術館で開催中の展覧会。
関西を中心に活動して、1994年に癌で亡くなったアーティストの、没後30年の個展。
私が行ったのは6月上旬、本展は8/18まで開催される。
初期作品に思うこと
氏が初期に制作した写真作品。
左の作品は、向かい合う人と、その人を見る人、それをさらに見る人を撮るメタ的な作品。
右は、異なる時期に撮影した自身の写真を組み合わせるコラージュ的な作品。
ドローイング作品として、紙に円や四角形を描いて、それを折ったりシワをつける、絵にはその「折る前」と「折った後」の両方が描かれている。
全く同じ人・同じものなのに、状況や見え方によって大きく変化したり、常に変わっていくという、人の知覚や視覚を問い直す作品。
後期作品で感じたエネルギー
後期に制作された作品は、何の絵?と考えるよりも「存在」そのものを描いたように思う。
展覧会の最後には、氏が亡くなる直前に病床で制作していた未完の絵画も展示されていた。
氏の後期作品はタイトルに『'86-CA323』など、年号とと共に通算でナンバリングしたものが多く、もしその絵が完成していたら、タイトルは『'94-CA800』となっていただろうと書かれていた。
館内に書かれているプロフィールや来歴より、氏が癌を告知されたのは1990年、亡くなったのは1994年。1989年発表の作品は500番台だったので、その4年で200点以上を制作していたことになる。これは1年で約50点、ほぼ毎週のペースだ。
死を意識しながら、それだけ膨大な点数を制作する、そのエネルギーはどこにあったのだろうか。自分は今、そんなエネルギーを出せるのだろうか。そんな事を考えながら観ていた。
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