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私がVRで味わいたいのは「リアルではないもの」~SR(代替現実)の世界

画像転載元:MIRAGE

これは、過去に私のブログ『Blog - 19XX』に書いた記事のnote転載版。

これを書いたのは2016年3月、ちょうど『PlayStation VR』が発表され、すでに発売済のVRデバイスも含め、各社のVRシェア争いが始まると言われていた時期。

現在、VRと謳っている主なものは、PC用の『Oculus Rift』『Vive』、ゲーム機の『PlayStation VR』、任天堂は段ボールで組み立てて遊ぶキット『Nintendo Labo』シリーズとして発売した『Toy-Con 04: VR Kit』など、価格や性能、それで楽しめるコンテンツは様々だ。

その中で、私がVRというものに触れたのは、実は『Nintendo Labo』のVRキットのみ。わずかに足を踏み入れた程度ではあるが、ゲームの映像が目の前に現れる体験に、感動した覚えがある。

でも、私が当時からVRで味わいたいと思っているのは、3Dによるリアルなものや迫力ある体験だけではない。
どちらかと言えば、リアルではないものを味わってみたい

人の感覚を奪うアート

それは、2012~2014年にアートとして行われたライブパフォーマンス『MIRAGE』。

公式サイト:MIRAGE | Naotaka Fujii + GRINDER-MAN + evala

メディア記事:『WIRED.jp』より

一人の観客にカメラが付いたヘッドマウントディスプレイをかぶってもらい、その前でダンサーが歩いたり演技をする。

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その動きと観客が見る映像に時間差を設けたり、現在と少し前の映像を重ねるなど様々な形で映し出すことで、どれが過去か現在か、どこまでが現実か分からなくなるという、不思議な感覚と体験ができるというもの。

それを更に発展させたのが、2018年に行われた『The Mirror』。

公式サイト:The MIrror | Naotaka Fujii + GRINDER-MAN + evala

観客がヘッドマウントディスプレイを通して見るものは、事前に撮影された背景、目の前で踊るダンサー、そして、その場に座っている自分自身。これらが混合されていくことで、自分の存在が分からなくなる。

ただし、『MIRAGE』『The Mirror』共に、「VR:Virtual Reality(仮想現実)」ではなく「SR:Substitutional Reality(代替現実)」と呼ばれる。
これは、理化学研究所(理研)の研究によって開発されたもので、その体験によって、自己と身体の関係を問うというもの。

参考記事:マイナビニュース

VRで使われるヘッドマウントディスプレイは視界を完全に奪ってしまうため、様々な形で「人を騙す」ことができる。それを利用した表現方法の1つとして、現実を見せるVRとは真逆の方向でアートにしたものだった。

これを知ったのは、主宰者であるダンスパフォーマンスアーティスト『GRINDER-MAN』のファンで、情報を定期的に見ていたから。

興味を持った理由は、記事や動画を見ても、実際に体験しないとどんな感覚になるか全く予想つかない、未知の世界に対する期待があるため。
VRというものが出た当初は、それ自体が未知だったが、このような方向の「未知」も味わいたいということ。

ただし、このライブ、関東や海外の公演が主だったため、私は体験できなかった、残念である。

リアルよりも

私の考えとして、イラストやCG、またアニメーションなどの映像でも「現実をリアルに描く」と「現実では見えない・あり得ないものを表現する」の両者がある。
そのどちらも「楽しむ」方向に突き詰めればエンターテイメントに、「表現」のみを突き詰めればアートの領域に入る。
それはVRのデバイスにも言えることで、これを使って「味わったことがない世界の体験」をしてみたい

現在発売されているコンテンツの中で、それが体験できるのは、『Rez Infinite』だろうか。


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つかさん
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