『ゼルダの伝説 Tears of The Kingdom』はクリアしたくない。そんな気持ちになるゲーム
私は『ゼルダの伝説 Tears of The Kingdom』に初めて触れたのは、入院中に病室で。
退院してから遊べるだろうかと思っていたが、入院が長引いたためAmazonで予約購入。おかげで発売日は平日なのにずっと遊ぶことができたわけだが。
また、私は前作『ゼルダの伝説 Breath of The Wild』を5年ほど前、Nintendo Switch本体購入時にプレイしていたが、途中でやめていた。それを昨年の入院時に再開。
その時はすでに、ネットで数多くの攻略サイトがあるなど情報が充実していたので、それを頼りに各所に隠されている祠探しなど数々の謎を追い求めながら、クリアまでプレイすることができた。
入院という時間がある時期に触れたおかげで、これほど巨大な規模のゲームをじっくり遊ぶことができたわけだが、どうもこのような形で触れると「進めたい、クリアしたい」という気持ちだけではない、むしろ「クリアしたくない」という気持ちにさえなっていることに気付く。
『ゼルダの伝説 Tears of The Kingdom』とは
それを書く前に、本作について。
発売1ヶ月経っても大ヒットを続けている有名タイトルだけに今更説明する必要もないだろうが、自分の考えをまとめる意味でも改めて書いてみたいと思う。
Nintendo Switch用タイトルとして発売された『ゼルダの伝説 Tears of The Kingdom』は、80年代にファミコンディスクシステムで第一作が発売された、任天堂を代表するアクションADV『ゼルダの伝説』シリーズの一つであり、その中でも、2017年に発売された『ゼルダの伝説 Breath of The Wild』の続編となる。
その前作は、シリーズで初めてオープンワールドの形式、広大なマップをどこでも自由に移動可能で、その各所にあるイベントを進めることでストーリーを追い、クリアしていくというスタイルを取り入れた作品。
シリーズの要素を引き継ぎながら、あまりに巨大な規模のマップと数多くのアクション、謎解きなどのイベントを盛り込む、更に全編を通して「伝説」を追い求めるストーリーが描かれるなど、まさに「ゼルダの伝説」というタイトル通りの世界を見せてくれた。
また、当初はNintendo Switch発売時のローンチタイトルでもあり、本体と共に世界中で大ヒットした。
その続編が発表された当初、多くの期待が寄せられた反面「あの作品を越えることができるのか?」という不安もあったが、発売前に発表された情報により覆される。
本作で最も重要な「ウルトラハンド」と呼ばれるクラフト要素の存在だ。
「ウルトラハンド」という名前自体は、任天堂が1960年代に発売した玩具で、開発者の横井軍平氏と共に任天堂の歴史の一つとして知られているが、ここではゲーム内のオブジェを自由に動かして接続することができる能力として使われる。
川があるところにいくつもの板を繋げて橋を作る、板と扇風機を繋いで動力付きの船、板とフックでロープウェイなど、作ることで攻略できるだけでなく、武器や防御の道具を作って有利になるなど、作り方で遊び方が大幅に広がる。
本作はオープンワールドという、マップのどこにでも行くことができる「自由」と共に、材料を組み合わせて作ることで謎解きや攻略をする、更に全く新しい遊び方を見つけ出すこともできる「創造」という要素で世界を広げてくれる、画期的な作品だ。
私にとって『ゼルダの伝説』の楽しみ方
私が入院中に前作『Breath of The Wild』をプレイした時は、発売から5年近く経っていることもあって完全に攻略に頼ったが、今回の『Tears of The Kingdom』は、新しい気持ちで挑みたかったのでほとんど見ずに続けている。
その結果、プレイ時間100時間突破。マップを全て解放と共に、ストーリー上重要な「竜の泪」完了と4ヶ所ある神殿全て潜入できるところまで進めた。
あとはそれぞれを攻略すればストーリーを進めていくことができるが、その前に別のことを進めた。
それは、延々とマップを徘徊すること。
マップを見て、あそこに高い山があるから頂上を目指そうとか、ここに島があるから行ってみようとか決めて進む。でも入れない場所がある、どうすればいい?と考える。
そういう難しそうな場所に到達すると、だいたいミニチャレンジやコログという小さなイベントがある。
そのイベントもパズルや謎解き、時には難易度の高いアクションもあれば、かなり意地悪なものなどバリエーションに富んでいて、それらを見つけていくのも楽しい。
また、特に狙っているわけでもないのに、徘徊するだけでミニチャレンジをクリアする目的地に辿り着いて次々とこなしていく。
冒険や探索というより、私がやっていることは「旅」だ。行き当たりばったりの旅で新しい発見がある、それが楽しいという感覚。むしろ、クリアせずに延々と旅を楽しみたい気持ちになる。
本作は、あらゆるところにイベントが仕掛けられているので、それを味わうことができる。本作はアクションや謎解き、ストーリーだけでなく「旅」を楽しめるのも特徴と言える。
ゲームは「旅」として味わいたい
本作に限らず、ゲームを「旅」として味わうのは、今の楽しみ方かもしれない。
最近は発売されたばかりのゲームでも攻略サイトに情報が載って、それに頼って進めていく人が増えているという話を聞く。本作もすでに数多くの情報が出ているので、最初から最後まで攻略に頼ることもできる。私は前作を情報に頼って、今回はほとんど頼らずに進めている。
それって、要は旅行するのにガイドブックを見ながら行くのと行き当たりばったりとどっちが楽しいかって話で、結局どちらも楽しい。それに、ゲーム自体を試練や競技としてではなく「旅」として味わいたいという考えが増えているということだろうなと感じる。
更には、ゲームを実況で見るだけでいいという人も「旅」に置き換えたら理解できるように思う。
そんな、旅という楽しみ方を、もう少し続けていきたいと思っている。
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