『APE OUT』狂気のゲーム展開、リズミカルな音楽、湧き上がるテンション。ノリと勢いで坂を一気に駆け上れ
APE OUT
檻に捕らわれたゴリラを操作して脱出しろ、武器を持った人間達を蹴散らしていけ、という、バイオレンスアクションゲーム。
私がプレイして感じたのは、本当に「人を動かすゲーム」であることだ。
・・・操作するのはゴリラだが、これは、初プレイの瞬間から一撃でハマって立て続けにプレイしてしまう、「人の心を動かすのが上手い」ゲームということだ。
リズムに乗る、それは「ゲームに乗る」こと
画面は上方から見下ろした視点で、キャラクターはシルエットで描かれる。軽快な動きと共に、各ステージのスタート時などで大きな文字がアニメーションで現れる、さながら20世紀前半のアメリカンTVを思わせる映像だ。
そこに流れる音楽はジャズサウンド。ドラム音が鳴り響く中、人間を突き飛ばして「ぶっ壊せば」シンバルの音が鳴る。そのドラム音も、暗闇の場面では静かに、警報が鳴って敵が一度に出てくる場面ではテンポを上げてくる。
プレイヤーはそのリズムに乗って演奏に参加するような感覚になる。そして破壊は音楽に、闘争はテンションに繋がる、アクションを続ける度に音楽とプレイヤーの心は動く。
冷静に考えれば、人間を次々と突き飛ばして蹴散らしていくのは、単なる殺戮では?と思うが、プレイ中は「いや、これは逃走のための防衛だよ!」と理屈を吹っ飛ばしてくれるような、ある種のトランス状態に陥る。
本作の特徴は、この映像と音楽でプレイヤーをリズムに乗せる、それがゲームをプレイする上で「テンションを上げる」演出でもあることだ。
理不尽?それが攻略
ただし、本作は難易度が異常に高い。2ステージ目から「殺せば爆破する」敵が現れるので、勢いで突っ込んだらあっという間に死ぬ、突破口が見えないとそのまま何度でも死に続ける。
また、ステージはプレイごとに敵の配置が換わる、いわゆるローグライクの要素を含んでいるので。思いがけない場所で突然敵と出会い頭になる、通路の前後からショットガンを持った敵に挟まれる、突き飛ばせば爆破に巻き込まれる、火炎放射器で焼かれる・・・、などと、理不尽を感じる死に方も多い。
だが、理不尽だけで終わらない。突き飛ばすだけでなく「掴む」の操作を利用すると、最初の難関である「爆破する敵」を抱えて遠くに投げ、数名を巻き込んで爆破できる。ショットガンを持った敵を抱えると、前方の敵を一網打尽。火炎放射器は、あえて火に突っ込んで自分が燃えると敵が逃げていく。
つまり、理不尽は全て攻略に繋がる。
最後は・・・気合いだ!
その攻略に重要なものは、どんな敵が出てきてもすぐに行動できる、一瞬の判断とコントローラーさばき、そして「テンション」だ。
本作は、敵に見つからないように移動するステルスも戦略の一つだが、時には一気に駆け抜けて敵を次々と蹴散らして突っ込んでいく、テンションを高めて勢いで突破するのが重要な攻略となる。
かつて、あるアーケードゲーム専門誌攻略記事に、STGの「弾を避ける方法」としてよく「気合いで避ける」と書かれていることがあった。
弾の軌道を読む、自機を動かして弾を誘導する、攻撃のタイミングを覚えるなどコツは挙げられているが、結局、最後に求められるのはアドリブの適応力、それは「気合い」や「勢い」で切り抜ける、ということ。
そう、本作の特徴である「映像と音楽でテンションを高める」演出は、この攻略に必要な「気合い」や「勢い」を高める効果があること。言い換えれば、この演出に合わせた難易度が設定されていること。
言わば、演出と難易度は密接に繋がっている。これが本作で私が感じたことだ。
補足
これは、以前Steamレビューで書いたものがベースになっています。
ここでは、あえてゲームの「説明」をせずに「勢いで書いたようなテンション高い文章」に挑戦してみましたが、今回は、言いたいことの趣旨は変えずに全く書き直して、スクショも加えたものが本記事になります。
ゲームと同じく勢いで書くべきか、読みやすいとか伝わりやすい文章はどう書くべきかなど、色々と模索しています。
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