アーケード移植で夢見た「できなかったこと」と、今出会う「新しい過去」
先日発売された、カプコンが過去に発売したアーケードゲームを今のゲーム機に復刻するプロジェクト『カプコンアーケードスタジアム』。
タイトルはDLCとして30本発売されているが、全て購入すると特典として『魔界村』がプレイ可能となる。
『魔界村』とは、カプコンから1985年に発売されたアクションゲーム。魔界の王にさらわれたプリンセスを救出するべく、一人の騎士「アーサー」が戦いに挑む。
ジャンプを駆使するアクションとしての要素と、槍や剣・十字架などを撃って魔物を倒すシューティングの要素が融合されたゲームシステムを持つ。魔物達は空中を飛んだり地を這いながら、プレイヤーが攻撃すると「避ける」など、緻密かつ縦横無尽に動きながら襲いかかる。そのため難易度は極めて高くクリアは困難など、歯ごたえのある内容で人気を博したゲームだった。
それが家庭用ゲーム機に初めて登場したのは、1986年発売のファミコン版だった。
(画像転載元:駿河屋)
私は当時、発売されてからすぐ購入したが、そこで真っ先に思ったのはこれだった。
家で魔界村の『永久パターン』ができる!
永久パターンとは
「永久パターン」とは、主にアーケードゲームで、あることをするとゲームオーバーにならずに敵を倒し続けてスコアを上げることが可能になる、理論上「永久にスコアを稼ぎ続けられるパターン」のことで、略して「永パ」とも呼ばれる。早い話が「バグ技」である。
ゲームには制限時間を設けたり強力な敵が出現するなど対策が取られているが、その穴を抜けて永パが実現するケースもあった。この『魔界村』も、あることをすれば永久にスコアを稼ぐ方法があった。
でも、永パは1コインで丸1日でもプレイできるため、ゲームセンターにとっては極めて迷惑な行為で、ゲームを製作したメーカーも修正を余儀なくされる(このゲームも修正が施されたバージョンが発売されている)。
また当時は、ゲーム雑誌と全国のゲームセンターの協力により全国でスコアランキングが集計されていたが、永パが起きたゲームは集計中止もあるなど、ゲームセンター・メーカー・プレイヤー全てにとって迷惑なものとなる。
ただこのような行為も、家庭用を自分一人で楽しむ分においてはその範疇になかったので、当時は一度試したいという好奇心があった。そう思いつつファミコン版をプレイしたら、永パはできなかった。
今回の『カプコンアーケードスタジアム』も恐らくできない。というより、永パができるものは今まで発売されていないと思われる。
いきなりそれを試したのも若気の至りというべきか、久しぶりにこのゲームに触れて思い出した次第。
「夢を叶える」のが家庭用の魅力
永パは迷惑行為ではあるが、考えてみれば、アーケードゲームの家庭用移植は自由に遊べるだけではなく、ゲームセンターではできなかったことができてしまう、色々な意味で「夢を叶えてくれる」ことが魅力だと思う。
ここ数年は、レトロゲームがブームになっているおかげで、過去のタイトルが続々と発売され、その中にはゲームセンターで当時見かけなかったタイトルに初めて出会うこともある、そんな夢を叶えることも一つ。
また移植ゲームの中で、2016年にPS4で発売された『バトルガレッガ Rev.2016』や、
『カプコンアーケードスタジアム』と同コンセプトのタイトル、2013年にXbox360などで発売された『CAPCOM ARCADE CABINET』。
これらのソフトは、高難易度でクリアが極めて困難なゲームに対して、面白さは残しつつ難易度を抑えたモードが搭載されていた。
おかげで、当時できなかった1コインクリアという夢を叶えてくれた。
過去のゲームでも、あの時に出会えなかった、できなかったことを実現するのは、言わば「新しい過去に出会う」ことでもある。
懐かしさに浸るだけではなく、そんな出会いがあれば嬉しい。
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