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スプレッドの植物工場入門

こんにちは。スプレッドnote編集部です。

植物工場にはいくつかのタイプがあります。私たちの植物工場「亀岡プラント」と「テクノファームけいはんな」は閉鎖型かつ人工光型というタイプ。その工場では、多段式かつ水耕栽培でレタスを育てています。
閉鎖?多段?早速聞きなれない言葉が乱立していますね。詳しくご説明しましょう!

閉鎖型+人工光型=全天候歓迎


あ、中国語だと思って読み飛ばした方、戻ってきてくださいね。日本語ですよ~。
ざっくりとご説明すると、閉鎖型というのは「外部と遮断した屋内」という、建物タイプの分類。人工光型とは、照明などの人工的な光源を使って育てるということで、育て方のジャンル。これらの対比としては「準開放・太陽光利用型植物工場」なんてものがあって、いわゆる「ガラスハウス」呼ばれる建物。透明の屋根から差し込む太陽の光を利用して植物を育てています。オランダで発展したので「オランダ式」ともいわれます。
ただこのスプレッドのnoteで出てくる植物工場は、「閉鎖型・人工光型」ということにさせてください。悪しからず。

では閉鎖型と人工光型であるメリットとは?ずばり外部環境に影響されないことです。工場内の温度と湿度を一定に保つことで、太陽が出ていない曇りの日でも、雨や雪、みぞれに槍が降ってきても大丈夫。全天候対応な農業です。ただこの工場内部のベストな環境を見つけ出すこと、さらにそれを維持するのが意外にもとてもとても難しいのです。テクニカルな用語ですと「環境制御」と言います。家でエアコンをつけても位置によって気温にバラつきがありますよね。そのバラつきをなくすことが安定生産の最大のポイントなのです。

太陽と土がなくても本当に野菜は育つのですか?というギモン

これは初めて植物工場を見た老若男女が必ず尋ねる質問です。答えはもちろん、「YES」。そのポイントは「光合成」の仕組みにあります。植物の成長に必要な要素は?「光、水、二酸化炭素」です。植物工場は、この基本的な仕組みをしっかりとおさえていることで、野菜を育てています。光と水について、それぞれ詳しく説明していきます!

すくすく育てるために考え抜いた「人工光」

意外なのが、光合成で必要な光というのは、実は必ずしも太陽光である必要はないということ。成長に必要な波長というのが様々な研究によってわかっており、その波長を持つ光をあてることで植物は十分成長できるのです。自然界の光には成長に必要のないむしろダメージになる波長もありますが、「人工光」の中でも特にLED照明だとその波長を選択できるのでとても効率が良いと言われています。スプレッドの工場でもLED照明を使っています。しかしさかのぼること10余年前の亀岡プラント稼働開始当初、LED照明はそこまで普及しておらず蛍光灯を使っていました。そこでスプレッドは消費電力を少しでも減らし環境負荷を減らすために専用のLED照明を開発しちゃいました。今ではスプレッドのすべての工場で導入しています。

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LEDの技術向上は植物工場にとっても大きな進歩でした。

水耕栽培と秘密のレシピ

次に水について。植物工場では水耕栽培という方法を使って育てることで水を植物に供給しています。水耕栽培とは、土ではなく水と植物を根付かせる培地(土台のようなもの)で育てる方式です。小学生の頃のヒヤシンス栽培を同じ方法で育てた方もいらっしゃるのでは。あとは水耕栽培の仲間でいうと、カイワレ大根など。下にスポンジがついていますよね。アレがいわゆる培地です。
水で育てる、といっても肥料を溶かした「養液」です。この養液は主に一般的な肥料の成分で構成されていますが、その配合こそが肝。社内でも数人しか知らないトップオブ企業秘密。我々のような一介の編集部員はもちろん知りません。このレシピを知っている面々で同時に飛行機には乗ってはいけないというウワサ。
スプレッドの工場では、穴の開いたパネルにレタスを植えていき、そのパネルの下に水があり根っこだけが水に浸かって、水分と栄養分を吸収しています。
さらに最後の光合成の3つ目の要素である「二酸化炭素」についても、工場で必要量を注入しています。産業で二酸化炭素といえば「排出」が課題とされる中で、植物工場は「利用」もしているという点は、珍しいですy。
植物の成長に必要なものだけを与える植物工場は、無駄のない効率的な生産が可能になります。

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水に浸かっているレタスの根っこ。白いひげのよう


その名も「垂直な農場」

「多段式」というのは、野菜を育てる棚を何段にも重ねていること。植物工場のユニークな点です。なんてったって小さなスペースでも効率良く栽培できるのが最大のメリット。ちなみに、英語では「vertical farm」と呼ばれることが多いです。「vertical=垂直」ですので、縦に積み上げる畑、というところでしょうか。ちなみにスプレッドの工場の最大棚数は16段。今後さらに高い棚数の工場も登場するかも?!です。

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テクノファームけいはんなの天井高の目安。この高さに14段積み上げています。

広がる可能性


私たちが作っているのは「リーフレタス」というジャンルのレタス。一般的な丸いレタスのことを結球レタスというのですが、そちらに比べて葉は縦に長く、緑もやや濃い目です。
実はこれまで語ってきた栽培方式では、だいたいすべての野菜を育てることができます!(木に実がなるようなものを除く)。じゃがいもや大根だって、できるんです!ですが、育てやすさ、収益性、さらに年中食べられているというマーケットニーズからリーフレタスがよく選ばれています。
私たちはレタスを栽培していますが、磨いた技術を応用していちごの栽培の開発もしています。植物工場の可能性は無限大なんです。

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葉っぱの形が印象的で背が高めのリーフレタス。やわらかくておいしい!

日本での歩み

植物工場の技術ですが、日本では1970年代から研究が始まっていたと言われています。その後、何度かブームの波がやってきて、栽培技術が高まってきました。ちなみに、スプレッドのような植物工場は国内で約200ヵ所(※)あるのです。生産規模は、コンテナで作る1日数百株から、大きな工場で1日1万株以上作れるものまで様々ですが、意外に多いんです!


以上、スプレッドの植物工場のタイプをご紹介しました。
「閉鎖型 人工光型 多段式 水耕栽培」をマメマメ知識として知っていただけると嬉しいです!
各工場のことも詳しく紹介していきますので、そちらもご覧ください!