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イベントビジネスとは〈3〉~イベントにまつわるおカネの話~
イベントビジネスについて、全4回に分けてお届するこの連載。前回は「イベントの構造を理解する」をテーマに、イベントの種類やそこに関わる人々、その関係性などについてお話しをさせていただきました。第3回となる今回は「イベントにまつわるおカネの話」。イベントにおけるお金の流れ、マネタイズなどを明らかにしていきます。大きなイベントから小さなイベントまで、そこにはどんなお金の流れがあるのでしょうか。ぜひ最後までご覧ください。
※第2回の記事は下記よりご覧ください。
【イベントにおけるお金の流れ】
■イベントのマネタイズ
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ここまで、イベントの構造や種類、そこに関わる人々について理解を深めてきましたが、今回は、イベントビジネスにおけるマネタイズ(収益化)の仕組みを見ていきましょう。
そもそもイベントで一番利益を得るべきなのか誰かというと、主催者です。そのため、イベントビジネスは主催者に利益がしっかりと出る構図になっていることがベストです。
主催者が得られるお金には、まず来場者が支払う入場料があります。しかし、これは実は微々たるものです。イベントを支えているお金の9割は、出展者が主催者に支払う出展料。ここで収益化できるかどうかが決まってきます。それゆえ、主催者はなるべく多くの出展者から多くのお金を得るために、出展者が喜ぶ企画を考えてイベントを創ります。
主催者の主な支出は、会場関係者や装飾会社など裏方の関係各社への支払いです。場合によっては、支援団体や交通機関に謝礼を支払うこともあります。
こうした支出を差し引いて残ったものが、主催者の収益になってくるわけです。
■出展料の構造について
それでは、主催者は出展者からなるべく多くのお金を得るために、どのような戦略を立てているのでしょうか。そのひとつが、出展者に対して「儲かるための仕組み」を提供すること。そのために作成されるのが、クライテリア(出展者のプラン)です。
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クライテリアとは、出展料などをプラチナ、ゴールド、シルバー、ブロンズなどにランク分けし、それぞれに対するサービス(待遇)の内容を設定したプランのこと。
上の図で説明すると、例えばプラチナ(冠スポンサー)は募集企業1社で、「500万円払ってもらうとWebサイトの至る所に貴社のロゴを乗せます」など、手厚い待遇を提供します。一番ランクが低いブロンズでは「一か所だけ貴社のロゴを載せます」という条件になり、ランクごとの支払い額に応じて、主催者が提供するものを変えています。このように主催者はさまざまなプランを並べて出展者に営業をかけ、なるべく多くのお金を得られるように働きかけます。
仮にこのプランでイベントを開催したとすると、協賛社からの収入として、500万円が1社、200万円が3社、100万円が10社、50万円が20社で、合計3100万円が収入になります。そして、主催者が裏方の関係者に1500万円、支援企業に1000万円払ったとします。このイベントが入場料無料で来場者からの収入は0円とすると、単純に計算して主催者の利益は600万円。これがイベントビジネスのマネタイズの仕組みなのです。
■主催者が最大利益を出すだけに考えるべきこととは
つまり、主催者がイベントビジネスで考えなければいけないのは、まず「出展者からいかにしてフィーを得るか」。そのためには、出展者に対してメリットを提供していかなければいけません。そして「裏方に支払う金額をできるだけ減らしていく」。主催者はその二点を一生懸命考えながらイベントを企画して、最終的な利益を大きくしています。
■出展者のメリットとは
では、イベントを企画するときに軸となる「出展者にとっての一番のメリット」とは何でしょうか。それは、関係性について説明した際に出てきたリード(個人情報)です。リードは出展者にとってターゲット情報そのもの。来場者のリードの数が多ければ多いほど、見込み顧客となる可能性が上がるので、とにかく来場者のリードが出展者は欲しいのです。これがBtoBのイベントの仕組みです。
我々デジタルエクスペリエンスも展示会に出展したときは、「何件リード情報が取れるのか」を常に確認しています。つまり、ブースにお越しいただいた来場者の方の名刺の数をKPIにしているのです。
【架空イベントでカンファレンスの仕組みを理解しよう】
イベントビジネスの仕組み&マネタイズを一通り理解したところで、ここからは、さらに理解を深めるために、「デジタルエクスペリエンスサミット」という架空のイベントを例に挙げてカンファレンスについて解説します。主催者はデジタルエクスペリエンス、来場者のターゲットは「イベントDXに興味を持つ企業」、つまりデジタルエクスペリエンスのサービスを導入する可能性のある企業とします。
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■主催者におけるイベント開催の意義
デジタルエクスペリエンスサミットを主催者側から見てみましょう。
主催者にとってイベントを開催することは、マーケティングの一環です。先に紹介したファネルの図に当てはめると、デジタルエクスペリエンスサミットは「デジタルエクスペリエンスを認知してもらう」「興味を持ってもらう」「比較してもらう」という青い矢印の範囲の役割を担っています。
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来場者はあくまでも情報収集としてイベントに参加するので、その場でデジタルエクスペリエンスのサービスを買うわけではありません。ただし、自分のビジネスに役立つ情報をここで収集し、帰った後に社内で検討をして、後日見積もりの依頼へと行動を進めてもらうのが、主催者の狙いです。
つまり、主催者がデジタルエクスペリエンスサミットを主催する目的は、直接的な収益を得ることではなく、強力に販売促進をすること。来場者である「担当者を惹きつけて、上司に報告させる」ことが重要なゴールになっています。
■デジタルエクスペリエンスサミットのステークホルダーとは
次にこのイベントのステークホルダーを確認しましょう。
主催者はデジタルエクスペリエンスです。そして出展者はイベントDXに関連する企業。来場者は導入可能性がある企業なので、出展者はその来場者たちのリード情報を求めているというわけです。そして、裏方として事務局も動いています。
■イベントのマネタイズについて
出展者には、先にも紹介したように、プラチナ、ゴールド、シルバー、ブロンズなどにランク分けされたクライテリアによって、それぞれのランクの出展料を支払、それに対するサービス(待遇)を受けます。
こうした各社の出展料から、会場費などの必要経費を支払い、その差分が主催者の利益となります。もしかすると、この時点では赤字ということがあるかもしれません。しかし、それは大きな問題ではありません。今回は販売促進が目的のイベントなので、仮に2万5000人の来場があれば、イベント終了後にデジタルエクスペリエンスのサービスを買おうと検討してくれる人が2万5000人ほどいるわけです。つまり2万5000のリードがあるということになり、これによって赤字は回収できる見込みが十分にあるのです。
以上、今回は、「イベントにまつわるおカネの話」をお届けしました。イベントの中で誰がどんなお金を支払い、どこに利益が出ているのか。デジタルエクスペリエンスサミットの例で、理解していただけたでしょうか。
次回、最終回は「イベントを成功に導くイベントDX」をテーマに、イベント後の営業プロセスやデジタルエクスペリエンスが取り組むイベントDXが目指すもの、などをお話しさせていただきます。是非次回もご覧ください。