非認知能力特集その8 日常生活のストレスに柔軟に対応する「エゴ・レジリエンス」
エゴ・レジリエンスとは?
1950年、当時のスタンフォード大学の大学院生であったジャック・ブロック氏の定義によると、「日常生活における内的、あるいは外的なストレッサーに対して柔軟に自己を調整し、状況にうまく対処し適応できる自我の調整能力」とされています。
「レジリエンス」との違いは?
前回紹介した「レジリエンス」は、極めて困難な状況下や逆境に置かれていても、それにうまく適応していく過程や能力のことでした。
困難な状況下、というところがポイントです。
一方で、エゴ・レジリエンスとは。
エゴとは自我とか自分、自己のことです。それにレジリエンスが加わる。
つまり、特別困難な状況ではないにせよ、日常的な生活の中で感じるちょっとしたストレスや不満などに対して、自分自身がうまく適応していこうとする過程や能力のことを指します。
オーバーコントロールとアンダーコントロール
1 オーバーコントロール(自己抑制)
自身の感情や欲、衝動などを過剰に抑え込もうとすること。
例えば…
仕事に追い詰められながら、自分のやりたいこと(帰りたい、お酒を飲みたい、遊びに行きたいなど)をグッと堪えているような状況。
2 アンダーコントロール(自己解放)
感情、衝動などを自由に表出させること。
例えば…
仕事を終えて、仲間と居酒屋で楽しくお酒を飲み、楽しく自分を表現している姿や状況。
この、1と2の間を切り替えるスイッチの役割を果たす弾力性のようなものが「エゴ・レジリエンス」であるといわれています。
エゴ・レジリエンスの高い人は、「切り替えの上手な人」であり、結果として自分のやりたいことにおいても良い成果を生み出しやすい傾向にあるようです。
日本版エゴ・レジリエンス尺度
ポジティビティと感情の敏捷性
ポジティビティ(肯定的感情)、例えば楽しさや喜びなどが、行動や思考のレパートリーを拡大し、永続的な個人的資源を生み出すことにつながり、結果的に人格的な成長をもたらしたり、充実した生活を送ったりすることを可能にするとされています。
このポジティビティとエゴ・レジリエンスはセットであるといわれています。エゴ・レジリエンスが、ポジティブ感情を高めることの重要な要因であると説明されています。
また、エゴ・レジリエンスが高かった人の特徴として、感情の敏捷性が挙げられます。これは、変化する環境によく適応し、相手の感情の動きを上手に察知して対応できるという意味。
また、大学生の男女において父親との良好な関係が、エゴ・レジリエンスとポジティビティに影響を与え、幸福感へとつながるという研究結果を明らかにしています。(2017 小野寺・畑)
エゴ・レジリエンスを伸ばすためにできること
自分にとっての幸福とは何かを考える
リラクゼーションや身体を動かす時間の設定
柔軟なものの見方の訓練
言語・非言語コミュニケーションの訓練
エゴ・レジリエンスカード検査…合計得点を自分で計算し、ありのままの自分を評価する機会設定をする。そして、参加者とともに、どうしたら得点を高くすることができるのか、方法を考えて共有。
エゴ・レジリエンスを構成する「柔軟性」「好奇心」「立ち直り力」を強化する課題を実践
実践後にはエゴ・レジリエンスカード検査を実施。得点を分析。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
今回は第8回として【日常生活のストレスに柔軟に対応する「エゴ・レジリエンス」】についての学びをまとめてみました。
日常生活におけるちょっとしたストレスに対処し、自身の心も身体も守っていくために、日々積み重ねておくべき大切なことを学ぶことができました。
Supportiaでの学びは、こうした非認知能力に関する最新の知見をもとに、教育の責任者と環境設計責任者とが議論を重ねながら学びの環境を整えています。体験へのご参加も随時受け付けておりますので、お待ちしています。下記フォームからご参加いただくことができます。
https://docs.google.com/forms/d/1_qHGcyQbvZ0dWVjZn7xSClh9egprun34p5J8mTHOCPk/edit
体験は、日曜日と水曜日の17時~18時20分です。随時参加可能です。対象は中学校3年生までです。保護者の方も一緒に参加してみたいというご要望も大歓迎です。ご参加をお待ちしています。