紙の本の読書が贅沢になる時代:「ピアノのバッハ」ペーパーバック出版のお知らせ
複数の方が電子書籍として出版した「ピアノのバッハ」を紙媒体で出版しないのかと尋ねてくださったので、一週間かけてペーパーバック版を用意しました。
電子版ではEPUBを用意すれば良いだけなので、本の内容をきちんと用意できれば、すぐに出版できます。
キンドルのペーパーバック版の場合、出版社さんが行ってくれる製本作業を全て自分で行わないといけないのでした。
これはオンライン出版よりも遥かに大変な作業でした。
本の製本は本当に大変なのだと身をもって知りました。
マイクロソフトワードを含んだオフィス365無料版は融通が利かず、グーグルドックスを使って原稿を書いたのですが、PDF化するとページナンバーが全て変わってしまい、調整するのは大変でした。
原稿も読み直して、やはり更なる誤字脱字が見つかり修正しました。
誤植のある原稿を読んで下さった皆様には大変失礼いたしました。
今回は完ぺきだと思います。
もし古い版で読まれた方は再度ダウンロードしていただけると、最新版と入れかわります。もし自動的に変更されないとすれば。
QRコード
ペーパーバックはオンラインではすぐに聴ける音源にアクセスできないので、音源にスマホ片手にアクセスできるようにQRコードを用意しました。
聴きながらではないと理解できない本なので、QRコードは絶対に必要でした。これも大変な作業。
百曲以上のリンク。
出版社さんはこれだけの仕事をするので、仕事の経費としてロイヤルティをたくさん取るわけです。
キンドルではない普通の出版だと、作者は10%から15%くらいしか印税は得られないそうです。
キンドルでは35%。
でも大手出版社さんは宣伝と流通を手伝ってくれるので、そこに出版社を通じて出版するメリットがあります。
より多くの部数が売れる可能性があります。
キンドルは大変な読者の数を世界中に持っていますが、やはり宣伝しないと読まれる数は限定的なものになってしまうことでしょう。
だからメリットとデメリット、よく考えて出版しないといけません。
日本の本は安い!ペーパーバック版の値段
キンドルペーパーバックでは、ロイヤルティは出版のためにアマゾンが得る基本料を除いた60%が作者へのロイヤルティとして支払われますが、その中から印刷費用が差し引かれます。
「ピアノのバッハ」は300ページもあるために紙代を含めた印刷費用は1103円になります。
印刷費用があまりに嵩むためにペーパーバック版の定価はオンライン版の倍ほどの値段なのに、実質的にこちらが得られるペーパーバック版の利益はオンライン版よりも小さくなる‼️
これからの時代、紙の本を読むというのは贅沢なことになってゆくのでしょうね。
このような分厚い本の場合、じつは半額ほどのオンライン版の方が作者であるこちらにはより多くの印税が支払われるという不可思議。
日本の本として決して安くはないペーパーバック版を読者様が購入されると、作者のわたしとしてはとてもありがたいのですが、わたしにはオンライン版ほどには利益が得られないことがなんとも心苦しい。
でもペーパーバック版が比較的高価なために、読者様には紙の本の半額で読めるオンライン版にお得感を感じていただけるかもしれません。
なお、本が圧倒的に安い国というアドバンテージのために、日本では紙の本が圧倒的に売れていて、特に昭和世代の方々はオンラインで読むことに未だに抵抗を持たれています。
紙の本の需要はいまもなお非常に高く、ペーパーバック版の需要はいまもなお健在だと日本の出版事情を鑑みると感慨深くなります。
2573円(税込み)は日本の本としては決して安価な本ではありませんが、アメリカドルではたったの16ドル。
日本の物価の低さに改めて驚くほかはありません。
16ドルはマクドナルドでビックマックセットを二人分買うよりも安い。
普通のテイクアウェイでお昼を食べる一人分の料金よりも安いくらい。
わたしの勤務する大学の同僚たちはホリディになると喜び勇んで日本へと旅行します。
日本は旅行先としては一番人気です。
圧倒的に安いからです。
日本の物価はニュージーランドのほぼ半分で、外国人のお客さんに最高のもてなしを無料で提供してくれると喜びます(チップは必要なし)。
昭和の数十年前に日本人が外国に行くと、すべてが格安だったのと全く同じだった現象が21世紀の日本の現実であることに慄然とします。
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さて、日本の本としてペーパーバック版「ピアノのバッハ」は作者としては資料的な価値が高いものだと自負しております。
たとえば
ゴルトベルク変奏曲の各変奏曲の特徴比較
あまり知られてないバッハの音楽や、または忘れられてしまった貴重な録音の紹介
日本史とバッハの生涯を比較した年表
バッハの音楽の演奏史
18世紀音楽に興味を持たれている方や、ピアノ演奏に興味をお持ちの方にはぜひ読んでいただきたいです。
出版についてのまとめ:
キンドル・ペーパーバック版は紙代が非常に嵩むので、ほとんどのキンドル作家はペーパーバック版を出版しない
キンドル・ペーパーバック版で長い本(ページ数の多い本)が売りにくいのは利益から印刷費用が支払われるから
ほとんどのキンドル本は200ページ以下
キンドルの本はSNSなどを通じての宣伝が重要
日本の本は他の国の本と比べて圧倒的に安い
紙の本の読書は、これからの時代には贅沢な読書体験なのかも
来年は英語版を完成させます。
わたしの母語は日本語なので、どうしても日本語で本を書きたいのですが、出版事情を考慮すると、日本語の本の出版はコスパが悪すぎます。
英語の本を最初から書く方が良いのかもしれません。
新しいことを始めるのは大変です。
でもいま経験していることは「産みの苦しみ」であると信じて頑張って初心貫徹したいです。