日産の倒産リスクについての手元分析メモ
2024/12になって日産の倒産リスクを皮切りにした、ホンダの統合という話が盛り上がってきた。急になぜ?という印象もあったので、簡単にIR資料を見てみました。
サマリー
結論、足元の5-10%水準の販売台数の落ち込みに伴い、固定費の重いコスト構造が影響し、利益水準が大幅に悪化。さらに設備投資や(在庫増による)運転資金の増加も嵩み、FCFは上期だけで▲4,500億円の赤字。手元現金(1兆円強程度)・ネットデットも危険水準が見えてきている状況。
大胆なリストラの実施(4,000億円規模)も発表しているが、このグローバルの販売ダウントレンドの中、単独で十分な打ち返し策が打ち切れるのかがかなり不透明。
この1年くらいが勝負になりそう、という印象でした。
分析メモ
ベースとした資料:日産発表の2024/11/7 24年度上期決算報告より
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24年度の全世界生産見通しは台数が前年比7%減の▲320万台。小売以上に製造が落ちているところに厳しさを感じる(製造から小売までは時差があるため)
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売上ベースでも前回見通し比で▲1.3兆円(約10%)の減少。営業利益は昨年比で▲3,500億円の減少(固定費は変わらないとするとざっくり限界利益率が27%程度(=3,500億円/1.3兆円)。つまり、売上が1兆円下がる(上がる)とそれに伴い利益が3,000億円弱下がる(上がる)収益構造
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結果、コア事業の自動車事業のフリーキャッシュフローは24上期の半年間▲4,500億円の赤字。23年度が2,000億円のプラスだった中、販売台数減による収益減少(にさらに設備投資や在庫等の運転資本が重なり)大幅に悪化。
シーズナリティを無視するとこのままの台数規模とコスト構造を放置すると、年間1兆円近いフリーキャッシュフローが流出していく
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自動車事業のネットキャッシュは24/9末時点で1.3兆円。ただこれはグループ内の販売金融事業への融資を含んでの数字なので、一旦販売金融側は融資を動かしづらいと仮定すると実質は5,000億円程度のネットデット状態。このペースでフリーキャッシュフローの赤字構造が続くと手元現金の1.4兆円が年間1兆円のスピードで減っていく(借入もすでに2兆円規模あり、足元営業利益が1,500億円水準まで萎んでいることを考えると、ここも厳しい交渉が控えていそうな印象)
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この状況を打開するために4,000億円規模の費用削減を打ち出している。ただ半年で5,000億円規模のフリーキャッシュフローが出ている状況、さらに320万台以上に売上が落ちていくリスクなども勘案すると、これで十分かというのはたしかに不安感がありそう
EOM