【奈良クラブ通信】黄金ルーキーと幻のゴール
1-1のドローに終わった第2節・長野戦。この試合、奈良クラブ唯一のスコアを記録したのは嫁阪翔太だった。後半8分、右サイドでボールを受けた嫁阪は利き足である左足にボールを持ち替えて、ゴール前に浮き球のクロスを送る。このボールに反応したのが、FWの百田真登。左足を目いっぱい突き出すと、その動きに戸惑ったのか相手GKはボールを見失う。結果的には嫁阪のクロスがそのままゴールネットを揺らした。
ゴールの瞬間、百田は両手でガッツポーズを作り、ゴール裏に駆け出す。テレビ中継でも一度、スコアラーは百田と表記された(その後に嫁阪に訂正)。プロデビューとなった開幕戦でゴールをあげ、一度は2試合連続となる幻のゴールを喜んだ大卒ルーキーは、「あの時は絶対触ったと思ったんですけど…」と試合後に苦笑いを浮かべた。「映像があるんで、世の中では嫁くんのゴールになっちゃってるんですけど…気持ちは触りました」とゴールシーンを改めて振り返った。
昨季の関西学生リーグ得点王は、開幕戦に続きこの日も1トップで先発すると、特に攻守のトランジションの場面で躍動。「最前線からチームを前に前にエネルギッシュに引っ張っていければと思っていました。特に守備面では少し手ごたえを感じました」と積み重ねを口にする。
開幕前に負った怪我の影響で決してコンディションでは万全ではない。試合後には「ゴールシーンも、万全なら触れた。まだ上があると自分では思っている」と頼もしい発言も飛び出した。開幕ゴールで一躍エース候補に名乗りをあげた黄金ルーキーが、万全のコンディションでチームにフィットすれば、惜しくも今節は「幻」となったゴールの機会は、いくらでも訪れるはずだ。
写真提供:奈良クラブ