今週のリフレクション【サーベイ・フィードバック入門(中原淳氏)】
今週は中原淳さん著「サーベイ・フィードバック入門」を振り返ります。ざっくり3点で要約すると・・
1.サーベイ・フィードバックとは、①見える化(サーベイ)、②ガチ対話+③未来づくり(フィードバック)のプロセス。サーベイだけでは効果はあがらない。データに現場の人々が向き合い「対話」してこそ現場が変わる。安易に個人のせいにしない 。①メンバーシップ型とジョブ型をハイブリッドさせた雇用制度から生まれる遠心力、②離職を防止し、エンゲージメントを高める、という背景で求められている。見える化できないものはマネージできない。サーベイ・フィードバックは半年〜1年に1回の組織レベルでのリフレクション。
2.新しいテクノロジーが(インプット)、現場の人々に解釈されて(スループット)、人・組織・職場を変える(アウトプット)。危機感を叫ぶだけでは人は動かない。重い腰を上げるだけのデータが必要。そして、データが解釈すれて意味づけられないと、現場は変わらない。サーベイには①モチベーション機能、②ディレクション機能、③サーベイにはコレクション効果がある。質問項目が社員へのメッセージになる。また、サーベイには外在化効果がある。半身の当事者性でデータに向き合い、半身で自分達に向き合う。
3.サーベイ・フィードバックは、目に見えないプロセスとの対峙。①組織にフィットしたサーベイの選択、②相手本位でのデータの質、③データ取得の目的開示、④タイムリーに見える化⑤サーベイ慣れに注意。イメージしやすく行動が変えやすく、負荷がかからないようコンパクト、比較できることがポイント。フィードバック・ミーティングは①目的説明(同じテーブルにつく)、②グランドルール提示(本音対話の準備)、③データ開示(焦点を絞る)、④データ解釈(感情を共有)、⑤未来に向けた話し合い(受け止めて違いを乗り越える)、⑥アクションプランづくり(自分ごと)というプロセスで進める。
組織開発をするためにサーベイを実施する、という文脈はあちこちで耳にするようになりました。
では、組織開発を主導する主役は誰か?
私は、経営者と現場の双方だと思っています。経営的な視座のない組織開発は戦略と整合しないので評価や報酬と連動せずにワークしないと思いますし、現場的な視座のない組織開発は実行できない実現性の乏しいものになってしまうと思います。つまり、どちらの視座が欠けてもサスティナブルではなくなってしまいます。
経営と現場を結ぶ通訳の役割を担うのが人事です。経営の視座でHRM全体で整合性をとりながら制度を設計し、現場の視座で現実的に運用できるようにオペレーションを設計する。その際に通訳のための共通言語として必要なのがサーベイであり、すり合わせのために必要なのがガチ対話だと理解しています。
しかし、人事(特に本部人事)はどうしても経営の視座に近くなりがちです。時間軸の長い、理想的なアプローチを好みます。これは機能的に致し方ないと思いますが、これを中和(相互監視)する機能がHRBPなのかもしれません。現場の視座に近い、時間軸の比較的短い、現実的なアプローチをとるHRBPと議論することで中和されるように思います。
個人的な感覚では、現場から人事に異動しても3年目になると無意識の現場感は薄れてしまうように思います。意図して現場感を取り入れる仕組みが必要なのかもしれません。経営の意図を理解しながら、現場に寄り添って施策を展開できる人事でありたいと改めて考えさせられました。
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